私が生年月日を非公開にする理由

わざわざ書くほどの事でもないような気もするのですが、某所で話題になったので一応。

 

私は Facebook などのプロフィールで生年月日を非公開にしています。

歳がバレるのが嫌だからではありません。むしろ「意外と _ _ _ _ _ _ ですね」とか言われるのが面倒なので先に知っておいてほしいと思うくらいです。ちなみに 1968 年生まれで現在 50 歳です。

生年月日を非公開にしているのはセキュリティ上の理由です。

(写真は本文とは関係ありません。)

随分前のことになりますが、転居、転職、クレジットカードの引き落とし口座の変更などの理由でクレジットカード会社など複数の金融機関に、何度か電話しなければならない事がありました。オペレーターが電話に出ると最初に本人確認のプロトコルがあります。ここで何を聞かれるかは金融機関によって異なりますが、だいたい自分のフルネーム、住所、生年月日などを聞かれ、これに答えられれば「ありがとうございます、ご本人確認ができましたので…」ということで用件に入ります。

これをどう感じるかは人それぞれだと思いますが、私は「この程度の情報でいいの?」と若干心配になりました。もっと他に聞くことないのかよと。例えば暗証番号とかパスワードとか、最近そのカードで買ったものとか、好きな女優は誰かとか、本人でなければ知らなさそうな事をもうちょっと何か聞いて確認してくれよと思ったのですが、とりあえず生年月日を淀みなく言えれば本人確認をクリアできる可能性が格段に高まるようです。ということは、生年月日を他人に知られるということは、なりすましの被害にあう確率がかなり高くなるという事ではありませんか?

そう思った私は生年月日を公開するのをやめました。もちろん Facebook などではプロフィールの公開範囲を設定できますが、あんなの何らかのバグや設定ミス、予告なしの仕様変更でどうなるものか分かりません。

私が心配しすぎかもしれませんので、他の皆さんに同じようにすべきだと言うつもりはありません。これを読んで心配になったら非公開にすればいいし、心配しすぎだと思ったらそのままにすればいいと思います。むしろ、これが心配しすぎだ(=生年月日くらい知られても何の問題もない)ということを何らかの根拠とともに教えてくれる人がいたら私はとても嬉しいです。

私はこのような考え方ですので、生年月日は非公開にしていますし、Facebook で「今日は _ _ _ _ _ さんの誕生日です」という通知を見ても特に何もしません。冷たいなぁと思われるかもしれませんが、それよりも大事なことがあると今のところ思っていますので。


とりあえず自分のソロのみ即席反省会

思いのほか早く演奏会当日の録音を聴くことができたので、Donegal Bay を早速反省。

  • 全体的にスムースさが足りない(もうちょっとスムースに吹けてると思っていた)。まず吹き始めの音でちょっとつまずいたので、余計にモタつく感じに聴こえると思う。
  • やっぱり八分音符が若干走り気味。
  • 十六分音符はかなり大事に吹いたつもりだったが録音を聴くと全部短い (^_^; 。こういうところをゆったり行かないと安っぽく聴こえる。
  • 前半の音色が全体的にこもって聴こえる。というか喉で息を押し込んでいるような音。結果的に mp って感じがしない。終盤は地声みたいな音が聴こえるので明らかに息が足りてない(これは演奏中に自覚してた)。音色に関して言えば、Renaissance 中間部の二小節のソロの方が Baritone らしい音を出せていたように思う。ってことはやはりメンタルの問題か。
  • Flugelhorn や Baritone との duo はだいたい合って聴こえる。これは良かった。
  • 途中で崩れかかったところを何とか持ち直すことができたのは良かった。従来なら一旦終わってた。持ち直せたのは精神的に少し余裕ができたからだろうと思う。
  • 最後の 8 小節の出来は本番が一番良かったと思う。ロングトーンであまり不安を感じなくなったのは、やはり精神的にちょっと余裕ができたのと、安東先生から教わったイメージのおかげ。

まあでも初めての金管バンドでの Baritone でのソロにしては及第点だったと思います。


メンタル面に不安を抱える人に合うかもしれないソロ練習法

昨日は所属している金管バンドの定期演奏会でした。

入団二年目にして Donegal Bay の Baritone Solo の機会をいただき、多くの方々の力をお借りして何とか吹き切ることができました。

自分の場合、演奏中に聴こえている自分の音(音色、音程)や自分が自覚しているテンポがお客様に聴こえている演奏と全然一致しないという致命的な欠点があるので、果たしてどんな演奏だったのか、うまくいったのかはまだ分かっておらず、録音を聴くまでは予断を許さない状況ではあるのですが、演奏した本人としてはとりあえず何とかなったと思っていますし、(いつもよりは)心理的な余裕を持って演奏することができたと思います。



ところで今回のソロに取り組むにあたり、自分にとっては効果的な練習方法を見つけたので共有したいと思います。次の条件が当てはまる人には効果があるかもしれません

  • ソロを吹くときにとても緊張する(アガる)
  • 演奏中に聴こえている自分の音と、それを録音して聴いた音とが結構違う(もしくは自分の演奏を録音して聴いたことがない)

なお先にお断りしておきますが、以下の方法は某サイコセラピストが本などで紹介している方法がベースになっています(丸パクリといっても過言ではありません)。

  1. まず(今回ご紹介する練習法に限った話ではありませんが)どんなふうに演奏にしたいか自分なりのイメージを考えます。さほど具体的でなくてもいいと思います。有名なプロの演奏を聴いて「こんなふうに吹けたらいいなぁ〜〜」という程度でも、イメージが無いよりマシだと思います。ちなみに私はこの段階では安東京平先生に相談して具体的なアドバイスをいただきました(オプション)。
  2. 自分のソロ演奏を録音します。音質の良いレコーダーを使った方が効果が高いと思いますが、iPhone アプリの PCM Recorder などでもいいと思います。私の場合は団員の K 口さんが毎回録音してくれていたので大変感謝しています。
  3. 録音を聴きます。あまりの下手さに愕然とします。「もう少しマシだと思ったのになぁー」、「こんなはずじゃなかった」と思うくらい、自分が演奏してた時の手応えと録音結果のギャップが大きい方が、効果が大きくなるのではないかと思います(ここで音質の違いが分かるくらい高音質のレコーダーが必要)。
  4. 前述の 3) で結構凹みますが、めげずに繰り返し聴きます。できれば翌週の楽団練習まで毎日聴きます。慣れてくると、自分の下手な演奏を冷静に聴けるようになります。
  5. これをソロの練習ごとに繰り返します。ソロを吹くたびに録音して聴き直し、凹んで、それに慣れるのを繰り返します。
  6. これをしばらく繰り返すと、演奏中の自分をある程度客観的に見られるようになって、心理的に余裕ができ、アガりにくくなります。あるいは、アガってしまったとしても「あーなんかオレ今アガっちゃってるなー」と思える余裕ができます。

自分の場合は、ミスった時にある程度冷静さを保てるようになったように思います。ちょっと極端な言い方をすると、従来は音を出した瞬間に自分の下手さに驚いて演奏が崩れるという事が度々あったように思います。そういうのが減るだけでも安定してきたのでしょう。

万人に合う練習法かどうかは分かりませんが、練習時間がないけど何かできることはないか?と思っている人や、メンタル面で不安を抱えている人には合うかもしれません。ご参考まで。

 


息のスピードに関するイメージ(管楽器奏者向け)

(先にお断りしておきますが、この先に有益な情報は一切ありません。)

先日は安東京平先生のコーディネートのおかげで実現した Dr. Demondrae Thurman の公開クリニックを聴講できて、とても勉強になったし刺激も受けたのですが、彼の説明でひとつだけどうしても腑に落ちなかったことがありました。



ある受講生に対して「暖かい息で吹け」とアドバイスされたのですが、その後に「暖かい息のほうが(スピードが)速いから」と説明していました。

管楽器を演奏するときに「暖かい息で」というのは、それこそ自分が中学生の頃からよく言われている事ですが、暖かい(つまり窓ガラスが曇るような)息の方がスピードは遅いと思っていましたし、今でも楽器を演奏するときは、遅い息を使うイメージで吹いています。クリニックにおいても、Thurman 先生は受講生の手に自分の息を吹きかけて、暖かい息と冷たい息との違いを伝えていましたが、冷たい息を冷たく感じるのは、スピードの速い空気が手に当たるからだろうと当然のように思っていました。しかし Thurman 先生は暖かい息の方が速いと言います。

聞き間違いかと思ったので、当日通訳をされていた安東先生に後から確認したのですが、聞き間違いではありませんでした。暖かい息の方が実は物理的なスピードは速いということのようです。しかし腑に落ちません。

Thurman 先生が「ロウソクの火を吹き消して試してみろ」とおっしゃいました。質問するチャンスがなかったので悶々としながら、帰りのコンビニでロウソクを購入。こんなデカい箱しか売ってませんでした。このくらい試さないとお前には分からないだろ、という神様のお告げでしょうか。

帰宅後に試してみましたが、冷たい息の方がロウソクを遠くに置いても消えるし、近くだと冷たい息と暖かい息との間で火の消え方の違いが分かりません。結局疑問と大量のロウソクが残りました。


読書メモ『空白の天気図』(柳田邦男)読了

この本を始めて読んだのは大学生の頃でした。御巣鷹山に旅客機が墜落した事故のニュースを契機に柳田邦男さんの存在を知り(当時は「航空評論家」という肩書きで NHK のニュースに出ていた)、『マッハの恐怖』や『航空事故』など柳田さんのノンフィクションを片っ端から読み漁った時期がありました。当時は新潮文庫に柳田さんの一連の作品が並んでおり、古本屋で柳田さんの文庫本を全部買って読んだ中に『空白の天気図』もありました。

その後二十年以上経って、たまたま気象台の方々と関わる仕事を担当することになったので、あらためて読み直してみようと思い、kindle 版を購入しました(本棚には若干色の変わった文庫本がまだあります)。



この本は昭和 20 年 8 月の原子爆弾と同年 9 月の枕崎台風という二つの災害に対峙した広島地方気象台の関係者を、丹念な取材に基づいて描いたノンフィクションです。

柳田さんの他の作品にも共通して言えることですが、徹底した取材で収集した資料や判明した事実に基づいて詳細かつ具体的に書かれているからか、文章に迫力があります。きっと膨大な取材ノートが蓄積されているんだろうな、と想像させられるリアルさです。もちろん私は柳田さんの取材ノートなど見たことはありませんが、文章を読んでいると膨大な資料や取材ノートの山が目に浮かぶようです。パソコンもインターネットもない時代に、これだけの情報を集めて、整理して、文章にするのは大変な仕事だっただろうと想像します。

序章は鹿児島県の枕崎測候所で、台風が接近する中で必死で観測を行う場面から始まり、ここで読者は当時の気象観測がどれだけ大変な作業だったかを知ることになります。しかも通信線が途絶しているため観測データを中央気象台(現在の気象庁)に打電できず、そのため中央気象台では猛烈な台風が近づいていることを知ることができずにいます。

今では恐らく気象観測の多くは機械化・自動化され、膨大なデータが途切れることなく送受信されて規則正しく天気予報が発表されますから、我々にとって天気予報は空気のような「あって当たり前」のものになっていると思いますが、冒頭数ページを読むだけで当時の気象観測の大変さ、天気予報の有難さ、防災における気象情報の重要性が非常に強く印象付けられます。この本を読み進めるには、まずこの序章を読んで気象情報の価値や重みの感覚を調整する必要があったのだろうと思います。

また、終戦を間近に控えた中央気象台の状況が書かれた部分で、原子爆弾投下当日の様子が次のように記述されています。

「八月六日のことであった 。広島地方気象台からの気象電報が一日中届かないという事態が起こった 。広島が空襲を受けたことは 、午後になって合同勤務の軍からの情報でわかったが 、どの程度の被害が生じたのかについては皆目不明であった 。地方都市からの通信が途絶することは日常茶飯事になっていたから 、中央気象台の予報現業室では 、広島のデ ータが途絶えていることにはじめのうち注意を払う者はいなかった 。」

当時の情報の伝わり方ってこの程度だったんですね。昨年見た映画『この世界の片隅に』でも、呉に住む方々が広島で起こったことを知るまで随分時間がかかった様子がリアルに描かれていました。あれは一般市民の目線でしたが、この本によると中央官庁においても広島で何が起こったのか分かっていなかったんですね。そのような事も含めて当時の状況が克明に描かれていて、大変読み応えのある本です。

この本の中で中心人物として描かれている技師が数度の転勤を経て広島地方気象台に戻ってきたところから後が「終章」となっています。この終章が結構長く、しかもとても重たい問題提起も含んでいて、ずっしりとした読後感が残りました。

この本はかつて新潮社から出版され、新潮文庫に収められたあと絶版となったものを、東日本大震災の後に他の著作とともに文春文庫として復刻されたものです(私が最初に読んだのは新潮文庫版でしたが、kindle 版は文春文庫版が底本となっています)。柳田さんが東日本大震災における原発事故を目の当たりにして、かつて『空白の天気図』にこめたメッセージをあらためて届けたいとの思いから、このような復刻を提案したとのことです。そういった意味では、既にこの本を読んだことがある人も、いま改めて読みなおす意味があるように思います。


安東京平先生に Baritone ソロのレッスンをお願いしたら改めて先生の引き出しの多さに恐れ入った話

某金管バンドの次回定期演奏会では Baritone で Do_____ _ay のソロを仰せつかっております。プログラムが決まった直後あたりから安東京平先生にレッスンをお願いしていましたが、今日ようやく実現し、多くの実践的なアドバイスをいただくことができました。



安東先生のレッスンではいつも、いきなり正解を示される訳ではなく、ある程度試行錯誤しながら良さげな方向性を見つけていくという感じで、とても手応えや納得感があります。今回もとても密度の濃い時間でした。
忘れないようにレッスン直後に清瀬のスタバで一心不乱に打ち込んだメモを晒しておきます。

  • 最初のメロディは、音が C – F – G – A – C – A – G -F – G – F と動くメロディではあるが、もっと真っ直ぐな息の流れを意識した方がいい。例えば、まっすぐ A を伸ばしている間に、さりげなく一瞬 C に変わってた、というくらい。
  • 一方でテンポ感は真っ直ぐではなく、フレーズの真ん中でフワっと浮いて待っているくらいの感覚があった方がいい。
  • [A] の 6 小節目から音域がやや高めになる部分は、オクターブ下で吹く感覚を思い出して吹くと、音が硬くならずに済みそう(って、言うのは簡単だけどな)。
  • [C] の 3 小節前の真ん中でブレスを入れるかどうかは悩みどころ。先生からも「まあ悩んでください」と (^_^; 。
  • [D] からの、ソロが裏メロディになる部分は、安東先生からの提案で先生が Euphonium でメロディを吹いてくださり、それに合わせて吹いてみたら、一人で吹くよりも格段に楽になった。これは目からウロコだった。主旋律(バンドでは Cornet)の倍音にうまくハマるように吹ければ、相乗効果で楽に吹けるということ。安東先生を相手に何とも贅沢な duo をやらせていただいたが、安東先生との間で感じられた相乗効果を複数の Cornet との間で実現できるかどうかが鍵らしい。
  • [D] の 3 小節目の G はコードにハマらない音を敢えて入れている感じをしっかり伝える。9 小節目の Bb も同様。降りるときにもったいぶるくらいがちょうどいい。
  • ラストから 3 小節前で F –> E と上がるところは、体も楽器も F を吹いているポジションのまま E に上がるようなイメージを持つと上手くいきそうだ、ということが分かった。

 

こういう事を書いてしまうとますます言い訳できなくなりますよね。
そうです。そういう作戦です。

 


Baritone 用の古くて新しいマウスピースを試した

蒲田の某出会い系楽器屋に取り寄せを頼んで先々週届いた Baritone 用マウスピースを、先週のブラスバンド練習で試してみました
今回買ったのは Denis Wick の 6BS という、Baritone 用としてはおそらく最も古いモデル。現在の楽器を使い始めて 1 年と少々たったところで、思うところあって最もオーソドックスなマウスピースを買うことにしましたが、これが見事にハマった感じで調子が良かったので、当面の間これ一本でいってみようと思います。



ちなみにこれまでの Baritone 用マウスピース遍歴など。

1) Bach 6 1/2 AL
この楽器を買った時に自分が唯一持っていた細管用マウスピースをとりあえず使用。案の定イマイチでした。ひととおり楽に吹けるんですが音質や雰囲気が何となく「これじゃないよな」という感じ(うまく説明できません)。

2) Denis Wick SM6B
周りの勧めもあって、とりあえず Denis Wick にしようと思いました。都内および横浜の楽器屋に片っ端から電話して、唯一 Denis Wick を在庫していたセントラル楽器に行き、3 本くらい試奏させていただいたうちの 1 本。もっとも、あとの 2 本は 4 番など大きめのもので自分にとってはお話にならず、ほぼ選択の余地なく購入しました。
高音域が若干出にくいかなとは思いましたが、音質や鳴り方、アタックの決まり具合が全体的に気に入ったので、納得して購入しました。

3) Alliance B6
Denis Wick での高音域のキツさに関しては、安東先生に相談して(http://ktashiro.net/archives/280)解決の糸口は見えたものの、やっぱり楽したいよなぁと思い、ブラスバンド界隈では Denis Wick の次によく使われている(っぽい)Alliance まで検討対象を広げました。試奏せずにマウスピースを買うことには抵抗があるので、また電話であちこち問合せたところ、在庫があったのはまたしてもセントラル楽器 (^_^; 。2 本試奏させてもらって B6 を購入。全体的に吹き心地は悪くないし、ハイトーンの打率が比較的高かったと思います。

そんな経緯でしばらく Alliance を使っていたのですが、アタックの決まり具合や安定感、音量を上げた時の安心感などの点でやはり Denis Wick の方が良いような気がして、確か 2 ヶ月くらい前から SM6B に戻って来ました。そして最近たまたま見た Denis Wick のスペックリストで、SM6B よりも 6BS の方が若干ボアが細めだということが分かり(カップ内径は同じ)、どんな感じなのかが何となく想像できたように思えたので、京急蒲田方面にオーダーした次第です。
三十数年の金管楽器歴の中で、試奏せずにマウスピースを買ったのは恐らく初めてなので若干不安はありましたが、予想以上にイメージ通りのマウスピースで、最初のウォームアップから合奏終了まで 6BS で通してしまいました。ザックリ言うと、SM6B の良いところを残しつつ、吹奏感を軽くした感じです(もちろん開発順序としては SM6B の方が後発ですが)。もしかしてこの楽器の開発にはこのマウスピース使ってたんじゃないの?と思うくらい、楽器との相性の良さを感じました。

そういう訳で SM6B と Alliance B6 は当分使わなくなるかも知れませんが、私が 6BS にたどり着くために、これら 2 本のマウスピースが教えてくれた事は多いので、決して無駄な回り道ではなかったと思います。


読書メモ『スター・ウォーズ論』(河原一久)

(この本は 2015 年 11 月、つまり『フォースの覚醒』公開前の時点で発行された本なので、この記事やこの本を読んでも『最後のジェダイ』に関するネタバレの心配はありません。)

「はじめに」で筆者が述べているように、この本は「スター・ウォーズはなぜ面白いのか?」を 30 年近く自問自答してきた筆者が、様々な観点からスター・ウォーズについて考察した本です。



私自身、スター・ウォーズに関しては(一般人の中では)かなり詳しい方だと思っていますが、そんな私でも知らない情報が山ほど詰め込まれています(例えばエピソード IV のデス・スター攻撃シーンの元ネタになった映画があったことなど)。しかも、ただ薀蓄が詰まっているだけでなく、筆者の論考を支える根拠として整然と並べられています。
例えば、巷では「スター・ウォーズが日本の文化の影響を多く受けている」と言われているようですが、その多くが誤解であることも具体的に指摘されています(黒澤明の映画の影響を受けたのは本当)。また、ペルーのケチュア語、南アフリカのズールー語、タンザニアのハヤ族が使うハヤ語、カルムイク共和国(ってどこ?)のカルムイク語、フィリピンのタガログ語などが、スター・ウォーズに登場する様々なエイリアンが話す言語のモデルとして列挙されています。こんなのどこで調べたんだよ、と思います。
もうこれは立派な論文です。

また、この本が書かれたタイミングも良かったのだろうと思います。ルーカスフィルムがディズニーに買収された後で、かつ『フォースの覚醒』公開前というのは、スター・ウォーズに関する話題や情報が多く、かつ出版社に本の企画を売り込みやすい時期だったのかも知れません。

これはスター・ウォーズのファン(もしくはマニア)なら必ず読んでおくべき本だと思います。
むしろ私自身がこの本の存在を先日まで知らなかったことが不覚でした。


読書メモ『しあわせになるための「福島差別」論』(池田香代子、他)

開沼博、早野龍五という 2 人の名前を見ただけで即買い (^_^) 。
今年の 1 月 5 日に発行されたばかりの本で、Amazon でも表紙の絵がまだ掲載されていないという状況ですが、今日届きました。

『しあわせになるための「福島差別」論』
著者:池田香代子、清水修二、開沼博、野口邦和、児玉一八、松本春野、安齋育郎、小波秀雄、一ノ瀬正樹、早野龍五、大森真、番場さち子、越智小枝、前田正治
かもがわ出版、2018 年



(まだほとんど内容を読んでいないので、本記事は読み進むごとに更新される予定です。)

「はじめに」の中で清水修二氏は、この本のテーマは「原発事故がもたらした差別と分断 – それを乗り越えるにはどうしたらいいか」であると言及しており、そのために必要だと清水氏が考えているアプローチが、次のように表紙に書かれています。

1、それぞれの判断と選択をお互いに尊重する。
2、科学的な議論の土俵を共有する。

また「はじめに」の最後に「付記」として次のような記述があります。

なお念のために付言しますが、原子力発電の是非に関しては執筆者によって考え方はいろいろで、その点での一致をこの本では前提にしておりません。はっきり見解を表明している記述があるとしても、それは全体を代表するものではありません。

難しい課題になればなるほど、様々な考えや立場の人々がお互いを尊重しながら議論できる関係が重要になるはずで、今後は原発に限らず様々な問題に関して、そのような議論が必要な場面が発生してくると思います。表紙に

めざすのは、福島の人たちの「しあわせ」

という記述がありますが、前述のような議論ができるようになることが、福島に限らず(自分も含めて)多くの人々のしあわせに繋がるはずです。ですからこの本を通して、困難な課題を議論するためのアプローチや考え方、姿勢、作法を学ぶつもりで読もうと思います。

《構成》
第 1 章: 福島原発事故はどんな被害をもたらしたか(清水修二)
第 2 章: 善意と偏見 – 不幸な対立を乗り越えるために(安齋育郎、池田香代子、松本春野、児玉一八)
第 3 章: 7 年たって考える放射能・放射線(早野龍五、野口邦和、児玉一八)
第 4 章: 被爆による健康被害はあるのかないのか(清水修二、児玉一八)
第 5 章: 事故現場のいまとこれから(開沼博)


リアル本屋さんの良さに触れた話

私は普段、本を買うのはほとんど Amazon で、しかも極力 kindle 版を探して買っていますが、たまにリアル本屋さんにお世話になることはあります。今回は暮れも押しせまった時期に、リアル本屋さんに来て良かったと思った経験を、1 日のうちに 2 回もしたので、ここに書いておきたいと思います。

1 つ目は、ある目的で本を物色中にたまたま全く予定外の本に出会ってしまった事ですが、まあこれはよくある話ですし、いろいろな人が言及しているのでここでは省略します。



2 つ目は、目当ての本が在庫になかったときの書店での対応です。最初に行った某有名書店に在庫がなく、他の店舗の在庫も調べてもらったのですがやはり在庫切れ。
どうしても今日中に欲しかったので、店を出て近隣(というか沿線)の大手書店数件に電話して調べてもらいました。

某 A 書店では本店と藤沢店に 1 冊ずつあるという状況。藤沢まで行くならこの際渋谷まで出るか、と思ったものの渋谷の書店は知らなかったので、下記サイトにたどり着き、上から順に電話しました。

folk – 渋谷の大きい本屋6選
https://folk-media.com/16001

結局「MARUZEN&ジュンク堂書店 渋谷店」だけが 1 冊在庫していたのですが、電話に出た担当の方曰く、「表紙の端の方がちょっとヨレてますが、それでもよろしいですか?」との事。贈り物として買う予定だった本なので、この一言に躊躇して一旦電話を切り、某 A 書店の藤沢店に舵を切ります。
一応念のため藤沢店に電話して在庫を確認したところ、こちらでも表紙が若干痛んでいるとの事。電話での話なので、どちらの状況がマシなのか正直分かりませんが、藤沢店の方曰く「初版が 6 年くらい前なので、入荷以来時間が経つうちにこのようになったのだと思いますが」というような話を聞いて、店員さんが程度の悪さを伝えたい気持ちが何となく分かり、結局渋谷に行こうと決めました。
あらためて渋谷に電話して取り置きをお願いし、年末のため早まっている閉店時刻間際に東急百貨店本店 7 階に上がって現物を拝見したところ、自分自身の基準では何ら問題ないレベルでした。もちろん新品を取り寄せてもらったら、もっときれいな本が届くでしょうが、本棚で在庫されている本なら、このくらい痛みのうちに入らないのではないかと思われました。
この程度のことでもネガティブな情報として伝えてくれた書店員さんは、やはり本が好きな方で、普段から本を大事に扱っておられるのだろうと思いました(もちろん商品だからという意味ではなく)。

今となっては藤沢店にあった本の状態がどの程度だったのかは分かりませんが、もしかした同じくらい些細なものだったかも知れません。いずれにしても、渋谷の書店員さんも藤沢の書店員さんも、本を買う人のことを考えてとても親切な対応をしてくださいました。きっと本のことが好きだし、本を読む人のことも好きだからこそ、あのような対応になったのだろうと思います。

普段 Amazon ばかり利用していて身勝手な言い方かもしれませんが、こういう親切な対応をしてくださる書店員さんは貴重だと思いますし、リアル書店にはリアル書店の良さがあることを、あらためて感じました。自分としてはうまく両方利用していきたいと思います。