読書メモ『多井熱』(多井隆晴)読了

最近、無駄なんじゃないかとも思えるくらい自分の専門分野から遠い世界の本も、たまには読むようにしています。

今回読んだ本はプロ雀士(麻雀プロ)が書いた本ですが、得るものが多かったのでメモしておきます。

タイトルは「おおいねつ」と読みます。Amazon kindle で読めます。

著者はプロ雀士として活躍する傍ら、「RMU」(http://www.rmu.jp/)というプロ雀士の団体の代表者を務めておられます。もともとは「日本プロ麻雀連盟」(http://www.ma-jan.or.jp/)の理事だったそうなのですが、事情により別団体として RMU を設立されたとの事で、単に麻雀が強いだけでなく、麻雀業界やプロとしてのあり方などに対して問題意識を強く持ち、かつ発言もされている方です。

この本は「近代麻雀戦術シリーズ」として刊行されていますが、あまり麻雀の戦術とかテクニックの話は書かれておらず、どちらかというとこれからプロ雀士を目指す方々や同業者に対するメッセージが詰め込まれた本で、これからの麻雀業界に対する問題提起や、プロ雀士としての気構え、心がけ、覚悟が綴られています。
(ちなみに「近代麻雀」とは竹書房の麻雀マンガ雑誌です。)

私自身は麻雀をやらない(満貫未満の点数計算ができないので雀荘にも行けない)のですが、プロ雀士としてこうあるべき、という部分は麻雀以外の分野にも通じるところがあるな、と思いながら読み進めました。簡単な例を挙げれば、技術やノウハウだけではなく「見られることを意識しろ」というのは、営業やコンサルタント、講演などにも共通ですし、「課金してもらえる人間になれ」というのも職業を問わず(たとえ会社に勤めていても)求められる考え方なのではないかと思います。

また、著者自身が RMU の代表でありながら、これからは「組織よりも個人の時代」だと説いている部分にも共感しましたし(自分が会社を辞めた身なので当たり前ですが)、「ごまかしの利かない時代になっている」ので技術やノウハウが足りないのがすぐバレて次の仕事が来なくなるというのも、プロの世界ではどの業界でも例外なく当てはまるでしょう。

ちなみにこの本全体を通して私が最も好きなフレーズはこちら。

「後悔しない決断ができた時点で成功しても失敗しても勝ちなんですよ。」

単に雀士だから勝負師だということではなく、様々な経験や苦労、決断をされてきたからこそ言えることだと思います。

 

【書籍情報】

多井隆晴(2018)『多井熱』竹書房(近代麻雀戦術シリーズ)

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