読書メモ『1秒もムダに生きない~時間の上手な使い方~』(岩田健太郎)読了

仕事の関係で岩田先生の書籍を密林で買った時に、自動的にオススメされて衝動買いした本です。

著者の岩田健太郎先生は、新型コロナウイルスの感染者を乗せたクルーズ船に乗り込んでその内情を報告したことで、広く一般に知られるようになった先生です(少なくとも私はこの時まで岩田先生のことは存じ上げませんでした)。

タイトルにもあるように、本書は時間の使い方に関する本ですが、ビジネス本によくある「時間管理術」のような How to 本ではありません。

「第 1 章 時間を削り取る、時間を作る」では岩田先生が時間を有効に使うためにどのような工夫をしているか、どのような行動を実践しているか、また続く「第 2 章 時間を慈しむ」では、生み出した時間をどのように有意義に使っているのか、などが紹介されています。そして「第 3 章 私の時間は何ものか」では、そもそも時間とは何なのか、時間を有効に使うのは何のためなのか、というような観点で岩田先生の考えが述べられています。

岩田先生が実践されているような方法が他の人に合うかどうかは、かなり個人差があると思います。特に、仕事の内容や予定をあまり自分の裁量で変えられない人にとっては、実行するのが難しいものもあります。そのへんは自分に合いそうなものだけ使えばいいと思います。

第 3 章では、第 1 章に書かれているような工夫をして時間を捻出することに、そもそも意味があるのか?という、本書の大前提にかかわるような問いかけをされています。これは、もしかしたら医師として人の命に向き合う仕事だからこそたどり着いた境地かもしれません。また、執筆中に東日本大震災が発生して多くの方々が突如として命を奪われた、ということも恐らく影響しているでしょう。

私のような者がこの本を読んだだけで、このような考え方が 100% 腑に落ちたとは到底言えませんが、限りある人生における時間の意味や価値を、あらためて考えさせられました。そんな、普段あまり気にしていないことをあらためて考える機会をくれた、貴重な本でした。

 

【書籍情報】

岩田健太郎(2011)『1秒もムダに生きない~時間の上手な使い方~』光文社新書

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