一言でなんか言えるか

私の所属しているブラスバンドでパート紹介の動画を撮りました。

 

うちのパートの録画をすることは練習日当日の朝に急遽決まりました。当バンドは毎週日曜日の午前中に練習しているので、この日の練習が終わった後に少し居残りして録画するとの事でした。

このようにユルい感じで決まったので、まあ大したことはないだろうとタカをくくっていましたが、午前中の合奏が始まる前に台本を渡されたときに、これが大きな間違いであることに気づきました。

台本どころか絵コンテになっていて、画面の構成とかフレームインとか指定されています。おいおい随分本気じゃねぇか。

しかも私が何かしゃべることになっています。

 

 

一言で、ですか…..。

 

正直これには困りました。

当バンドも含め、他のブラスバンドでも演奏会の中で楽器紹介の時間が設けられることが度々ありますが、だいたい Baritone の説明といえば、「Euphonium より一回り小さくて…..」などと説明されることがほとんどです。そんな月並みな説明はしたくありません。しかしなら、これといって他に特徴のない楽器です。

しかも、今さらこういう説明をするということは、対象としてブラスバンドや Baritone のことをよく知らない方々が想定されているはずです。そう考えると、この楽器の特徴を一言で伝えるのはますます至難の業のように思えました。

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誤解を避けるために一応申し上げますが、これは決して Baritone が「何の特徴もない、つまらない楽器だ」という趣旨ではありません。私はこのバンドで Baritone を吹くことを心底楽しんでいるし、やればやるほど奥の深いパートだと思います。

ブラスバンドにおける Baritone の役割やその面白さ、魅力を語ることはいくらでもできますが、話せば話すほどマニアックな方向に行きかねないのです。そのような魅力を一言で伝えることができるとは到底思えないのです。

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さらに、このセリフのあとに「簡単にワンフレーズ演奏」とあります。さて Baritone の音色の特徴を伝えるのにピッタリのフレーズって何だ?しかも直前のセリフとの繋がりも考えておかしくない曲は?などと考えだしたら収拾がつかなくなってきました。

そんなことばかり考えていたので午前中の合奏もイマイチ手につかなかったのですが、それでも合奏が終わる頃には一応考えもまとまり、「簡単にワンフレーズ演奏」は当日の合奏で練習した曲の中からひとつ選ぶことにしました。

午前中の練習が終わって、録画の準備をしているときに、インタビュー担当の方から唐突に「田代さん、Baritone って一言で言うとどのような楽器ですか?」と振られたので、合奏の間に何とか考えついた答えを、一言で返してみました。

とても微妙な空気になりました。

彼女の微妙なリアクションを見て、「一言で言うと」という問いに本当に一言で答えることが期待されていないことを、ようやく悟りました。そりゃそうですよね。

それからセッティングが決まるまでの数分の間に、何とか答えをひねり出して乗り切ったのが、こちらの動画です。

 

 

今にして思えば、録画前に唐突に話を振られることがなかったら、カメラが回っているところで微妙な間が空くという寒い状況を招くところでした。録画前にこの間違いに気づかせてくれた彼女には本当に感謝しています。

なお、Baritone の後に Euphonium の紹介が続きますが、こちらはちゃんとパート紹介のために二重奏の譜面を用意して、録画前に練習までしていました。何だよ周到に準備してるじゃねぇかよ。

それにひきかえ Baritone のほうは、私が使っている 1st Baritone の譜面(裏旋律)を 2nd の人に渡して、自分が主旋律を吹くというその場しのぎです。まあ、たまたま当日の練習曲目にこの曲が入っていて幸運でした。




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