eLTAX でさんざん回り道させられた話(平井デジタル改革担当大臣何とかしてくれ)

昨年設立した会社の決算処理や確定申告などの作業の経緯を書きましたが、この作業で作成した電子申告用のデータを e-TAXeLTAX で送信する際に、自分がたまたま Mac ユーザーだったばっかりに、無用な回り道を何度もさせられたので、来年の確定申告の際に同じような回り道をしなくて済むように、経緯を書いておきたいと思います。

 

なお、以下の内容の半分以上は愚痴ですし、日常的に Windows を使っている方々には価値がほとんどない情報が続きます。

 

[うちの IT 環境]

日常業務には Mac を使っています。ごく稀に(特にこういう作業の時に)Windows が必要になるので、BootCamp で Windows 10 の環境も用意してあります。

電子署名は NTT ネオメイトの「e-Probatio PS2」の電子認証カードを使っています。カードリーダーは同社の動作確認済みリストに載っていた uTrust 2700 R です(中古品をネットで見つけて購入)。

 

[e-TAX]

法人税と消費税(つまり国税)に関する電子申告には e-TAX を使います。

これは私個人の確定申告を昨年実施した時や、上半期の源泉徴収所得税の処理をした時に既に使った経験があったので、さほど問題はありませんでした。

下の方に掲載した表にあるように、Mac でも使えることになっているのですが、上半期の源泉徴収所得税の処理をした時には、Mac だと電子署名の読み込みが出来なかったため、やむを得ず BootCamp で Windows 10 に切り替えて Chrome で処理しました。

(個人の確定申告を行ったときは、Mac + Safari で、マイナンバーカードによる電子署名付与も含めて処理できたような気がするのですが、いまいち記憶がはっきりしません。いずれにしても法人向けの処理に関しては Mac ではうまくいきませんでした。)

したがって今回は最初からおとなしく Windows 10 + Chrome で無難に処理しました。

 

[eLTAX]

問題は今回始めて使用する eLTAX でした。これは都に対する法人都民税の申告に使うものです。

e-TAX と eLTAX とで動作環境が微妙に異なります。2021 年 2 月時点での状況は次のようになります。ちなみに eLTAX には「Web 版」と「DL 版」(ダウンロード版/Windows 用のみ)とがありますが、DL 版の推奨環境は Web 版と同じです。

OS e-TAX eLTAX(Web 版)
Win OS:

  • Microsoft Windows 8.1(デスクトップモードのみ)
  • Microsoft Windows 10

ブラウザ:

  • Microsoft Internet Explorer 11
  • Microsoft Edge(Chromium)
  • Google Chrome
OS:

  • Microsoft Windows 7 Service Pack 1
  • Microsoft Windows 8.1
  • Microsoft Windows 10

ブラウザ:

  • Microsoft Internet Explorer 11.0(32bit版のみ)
  • Microsoft Edge(Microsoft Windows 10をご利用の場合のみ)
Mac OS:

  • mac OS 10.13
  • mac OS 10.14
  • mac OS 10.15
  • mac OS 11

ブラウザ:

  • Safari 13.1(OS 10.13 の場合)
  • Safari 14.0(OS 10.14 以降の場合)
OS:

  • Mac OS10.12
  • Mac OS10.13
  • Mac OS10.14

ブラウザ:

  • Safariの最新バージョン

私としてはやはり BootCamp で再起動するのは面倒なので、できるだけ Mac で済ませたいと思うわけです。しかし e-TAX が「一応」最新 OS までカバーされている一方で、eLTAX は Mac OS 10.14 で止まってるんですよね(うちのマシンは 10.15)。まあでも「推奨」環境なので、出来ないことはないかも知れないと思い、一応 Mac でやってみることにしました。

 

eLTAX で申告を行うためには、まず最初に「利用者 ID」を取得する必要があります。

まずはここから、と思って手続きを進めようと思ったときに、表示された画面がこちらです。

…….。

トップページに戻ってよく見たら、利用時間が平日の 8:30~24:00 と書かれていました。

そりゃ夜中までこんな作業をしている私も悪いと思いますけど、なんで利用時間を制限する必要があるんですかね。たまにメンテナンスのために止める程度なら分かりますけど。もしかして裏で誰かが手作業で処理してるの?

 

翌朝あらためて「利用者 ID」の取得をします。指定された項目を入力したら電子署名を読み込むんですが、ここまで来たところで「MacOS では公的個人認証サービス(要はマイナンバーカードですね)に基づく電子証明書のみ利用可能」であることが分かります。弊社の電子署名は NTT ネオメイトで発行してもらった「e-Probatio PS2」です。

 

「先に言えよ」と思いました。

 

気を取り直して BootCamp で Windows 10 に切り替え、Edge で作業を進めます。eLTAX の Web 版を使うためには、ブラウザにプラグインをインストールする必要があるという表示が出たので、指定されたリンクをクリックしてプラグインをインストールします。

ここで表示されたのが Chrome 用プラグインだったので、何か間違えたかと思いましたが、Edge が Chromium ベースだから Chrome 用プラグインが使えるということのようでした。普段 Windows を使わないため、そんなことに興味もなく、全く知らなかったので、これを確認するために Web でいろいろ調べる必要があり、再び時間を消費しました。

そんなこんなで「利用者 ID」取得の手続きを済ませ、これはすぐ発行されたので、eLTAX の Web 版でログインし、いよいよ申告データの送信です。しかし、いくら探しても申告データを送信するためのボタンが見当たりません。

eLTAX の Web サイトをあちこち探して、ようやく分かったことは、Web 版には申告のデータを送信する機能は無いということでした。

そういう訳で DL 版をインストールし、ログインして、申告データを送信しました…..。

 

今回の作業にどれだけ時間がかかったのか、測っていたわけでは無いので明確には分かりませんが、eLTAX に関する作業だけで恐らく 3 時間くらいはかかっています。

終わってからあらためて振り返ってみると、「電子申告データを送信するためには Windows で DL 版を使わなければならない」ということが最初から分かっていれば、30 分程度で済んだかも知れません。長くても 1 時間はかからなかったと思います。

こういう制約条件も含めて動作環境のページに全部書いておいてくれれば、あんな回り道をしなくて済んだんですよ。こういう分かりにくさは本当に何とかしてほしいと思います。

もちろんマニュアルはひととおり用意されています。PDF で Web 版用が 407 ページ、DL 版用が 462 ページに及ぶ大変立派なマニュアルです。これらををちゃんと読めば上記のことは全部書いてあります。しかし今回行った作業は全て、「DL 版を使わなければならない」という制約さえ知っていれば、マニュアルなど見なくてもできる簡単な作業でした。さらにマニュアルが置いてある場所が分かりにくく、特に DL 版のマニュアルを見つけたのは、全ての作業が終わった後でした

 

こういう分かりにくさや中途半端な制約条件も、デジタル庁ができたら改善されるんですかね……。




初めての会社決算処理と確定申告作業をようやく完了

昨年設立した会社の決算処理や確定申告などの作業を、一昨日ようやく終えました。

まあ一般的には文章にするほどの話題でもないのですが、会社の決算処理や確定申告などの作業が全く未経験だったこともあって、やり方が分かるまでに時間がかかったり、余計な回り道をしたりしたので、備忘を兼ねて書いておきたいと思います。

いま改めて振り返ってみても、手順が最初から分かっていれば、もっと短時間で済んだはずですので、次回はもっと楽になるはずだと信じて、今回の経緯をまとめます。

 

[日頃の会計処理]

日頃の会計処理には「会計 freee」を使っています(ベーシックプラン)。

freee にどんどん入力していくだけなので楽勝です。しかも銀行口座やクレジットカードを連携しておけば、かなりの入力が自動化できます。本当に楽。

システムが自動的に複式簿記で処理してくれるので、簿記会計の知識が皆無にもかかわらず最初から青色申告です。今のところ税理士さんのお世話になる必要もなさそうです。

しかしながら、決算や確定申告の時にどうなるかを知らないまま、あまり深く考えずに適当に入力していたデータが多かったので、決算処理の際にまとめて多数のデータを修正するハメになり、大変な思いをしました。やっぱり最初にある程度の勉強はしておくべきでしたね。

まあ今回理解して修正できたので、今期からは恐らく大丈夫だと思います。

 

[消費税申告書の作成]

本来は、設立したばかりの小さい会社ならば消費税の納税義務が免除されるのですが、弊社は諸事情により納税事業者です。しかも簡易課税に切り替える手続きを忘れたので、2021 年度までは「一般課税」で処理しなければなりません。何とも間抜けな話です。

まあ、そうは言っても freee だとこの辺は自動で処理してくれるので、簡易課税に切り替えても作業量はあまり変わらないかもしれません。

電子申告用のデータも freee が自動で吐き出してくれるので、あとは e-TAX で送信すれば OK。楽勝です。

 

[法人税申告書作成]

freee では法人税申告書を作成するための機能が「申告 freee」として別のアプリケーションになっています。会計 freee の[決算]メニューから「法人税申告」を選ぶと「申告 freee」に切り替わります。必要なデータは会計 freee から自動的に転記されるので、別アプリになっていることを意識せずに、申告書作成作業に入れます(一応、「ここからは申告 freee です」みたいな画面はありました)。

画面の説明にしたがって転記されたデータを確認しつつ様々なデータを入力し、いよいよ帳票が自動的に作成されるという段階になったところで、「ここから先の機能を使うなら金払え」という画面が登場します。

 

私が最も嫌いな展開です

「先に言えよ」と思いました。

 

ほぼほぼデータの入力を済ませ、会計データもうまく移行されて便利だよねーと思わせてから、おもむろに金額を表示してきます。年額 24,800 円(税別)です。「年額」ということになっていますが、実質的にはこの時期にしか使わないアプリケーションです。

もちろん同社の Web サイトをちゃんと見れば価格もちゃんと書いてあります。知らなかった私の落ち度と言われればそれまでですよ。しかしながら会計 freee の[決算]メニューからスルスル誘導された挙げ句に、金額を後出しされて寸止め食らった状況が非常に腹立たしく、一旦作業を止めました。

 

こんな汚いやりかたで買わせに来るソフトなんか使うもんかと思い、随分前に税務署から分厚い封筒で届いた確定申告用資料一式をあらためて見直したり、国税庁をはじめ多数の Web サイトをあたって、確定申告書の作り方を探したのですが、全く手がかりすら掴めませんでした。

最も困ったのは、税務署からの通知には「確定申告書」を 1 部提出するように書いてあるのですが、「確定申告書」という帳票が見当たらないことでした。どうも確定申告に必要な様々な書類をまとめて「確定申告書」と呼ぶようなのですが(これも未だに確証なし)、「確定申告書」がどういうものかを分からないのに確定申告書を作れる訳がありません。結局、「申告 freee」の軍門に下る決意をし、支払手続きを渋々済ませました。

 

「軍門に下る」とか大げさだなと思われるかもしれませんが、要はそれだけムカついたということです。単に楽になる程度のソフトだったら絶対使わなかったと思います。しかしながら本件に関しては、自分に知識もスキルも経験もない分野なので、使わざるを得ませんでした。

 

心を入れ替えて「申告 freee」での作業を再開すると、提出すべき多数の添付書類にデータが自動的に転記され、集計されています。しかし日々のデータ入力で取引先などの設定が適当だったなどの理由で、多くの欄に「その他」と記入されてしまいました。

さすがにこれだけ多くの項目が「その他」はまずいだろうと思って、該当するデータを探して修正するという作業を、かなりの時間を費やして行いました。

中には勘定科目を間違えていたものなどもあったので、入力済みのデータの勘定科目を変更するという作業も発生しました。その結果として財務諸表上の数字が変わったり消費税の計算が変わったりしたので、消費税申告書の作成をやり直したという回り道も経験しました。

このような作業を重ねて、添付書類の内容が整ったことを確認できたところで、電子申告用のデータを出力し、ようやく作業完了となりました。

 

この後、これらのデータを送信するところで再び壁にぶち当たるのですが、その辺は別途まとめます




Happy Hacking Keyboard is Back!

事情によりしばらく里子に出されていた Happy Hacking Keyboard が戻ってきたので、早速仕事環境に組み込みました。

事務所では Mac 2 台を並べて置いて、その間に LCD モニターを置いていますが、本体のキーボードを使う都合上、Mac を中央に向けて斜めに置き、本体のモニターをメイン、外部モニターをサブとして使っていました。今回キーボードが加わって、外部モニターとキーボードを直線上に配置できるようになったので、外部モニターをメインに使うことにして Mac を脇に寄せました。左側の空きスペースには必要に応じてもう一台の MacBook Pro を置きます。

いま実質的にメイン機になっているのは、紆余曲折の末、2012 年モデルの MacBook Pro ですが、HDD を SSD に換装して以来、テキスト入力や Office 系アプリケーションに関しては全くストレスを感じずに使えますし、Zoom 会議にも問題なく使えることが分かったので、事務所ではメイン機としての地位を取り戻しました。

また、一部の公的機関関係のシステムが Windows でしか使えないのと、お客様にお送りする資料を Windows 環境でテストしたいことがあるので、BootCamp で Windows 10 も使えるようにしてあります。

もう一台の MacBook Pro (2017 年モデル)は主に外出先や出張で使うほか、画像や動画の編集にはこちらを使います。実は 2012 年モデルの方でも GIMP での画像編集くらいはできるのですが、ディスプレイの解像度が高いマシンの方が有利なので、画像編集を行うときには左側に 2017 年モデルを置きます。

やっぱり自分に合ったキーボードを使うと、タイプミスが減りますし、キーの感触が気持ちいいので快適です。外部モニターをちょっと高めの位置に置いて、視線も上げることができたのも良いと思います。

ますます言い訳できない環境が整ってきたところで、さっさと仕事しようと思います。

8 万円くらいあれば社長になれる

私はもともと個人事業主として仕事をしていましたが、ちょっとした事情から法人化することにしました。しかしながら仕事の内容は全く変わらず、従業員を雇う予定もなく、ただ形式を「個人」から「会社」にしたかっただけなので、できるだけお金と時間をかけずに「会社」という形にする方法を調べて実行しました。

せっかくそんな経験をしたので、自分がどのように会社を作ったかを簡単にまとめておきたいと思います。もしかしたら今後同じようなことを考える人にとって何らかの参考になるかも知れませんので。

【前提条件】

  1. 会社の種類はいろいろありますが、私は「合同会社」を選びましたので、以下の内容は「合同会社」を設立する場合の話です。「株式会社」など他の種類を選んだ場合は手続きや金額が若干変わります。
  2. 以下の内容は「会社」という形にするために必要な手続きと費用に絞って書いてあります。実際にゼロから創業する際には、事務所や銀行口座、インターネットのアカウントや Web サイト、パソコン、スマフォなど諸々用意する必要がありますが、私の場合は既に個人事業主として事業を始めていたため、これらは全て揃っていましたので、今回の記事では触れません。
  3. 自分自身を会社の役員として登記するために、自分自身の実印が登録されている必要があります。もし実印の登録が済んでいない場合は、先に現住所の市町村の役所で印鑑登録を済ませる必要があります。
  4. 私自身は行政書士や税理士、社労士などの資格を持っていませんし、このような分野の専門知識や実務経験はありません。

では本題に入ります。

1. 会社の種類と会社名を決める

私の場合、いつかは法人化しようと思っていたので、会社の種類や会社名は既に考えてありました。したがってこれにかかった時間はゼロです。
ちなみに会社の種類を決めるための参考情報は、ちょっとググればいくらでも見つかりますので、ここでは触れません。

2. 会社の実印を作る

会社を登記する際に印鑑(実印)を届け出る必要がありますので、実印として使える印鑑を作る必要があります。私は「ハンコヤドットコム」(https://www.hankoya.com/)で注文しました。
こちらのサイトで、実印として使える印鑑で最も安いのは、薩摩本柘製で直径 13.5mm のもので、3,370 円で買えます。12 月 26 日に Web から注文し、30 日に届きました。
(なおハンコヤドットコムでは「実印・角印・銀行印」の 3 点セットを勧められますが、会社設立に必須なのは実印だけです。)

3. 会社設立に必要な書類のドラフトを作る

これについては「会社設立 freee」(https://www.freee.co.jp/launch/)というサービスを利用しました。これはクラウド会計システム「freee」の関連サービスで、基本機能は無料で利用できます。

このサイトで新規登録を行って必要事項を入力すると、定款や登記申請用書類などが自動で作成され、PDF で出力されます。入力する内容は概ね次のような内容だったと思います。

  • 会社名(商号)
  • 会社の所在地
  • 代表者の氏名と住所
  • 自分のメールアドレス
  • 自分の会社の Web サイトの URL(会社の電子公告を行う方法を示すために必要)
  • 事業内容
  • 資本金の金額
  • 定款の作成日付(私は入力した日の日付にしました)

これらのうち「事業内容」については、既に個人事業主として開業する際に税務署に提出した「開業届」に記述した内容を、ちょっと手直しすれば済んだので簡単でした。

なおサイトで必要事項を登録する際に、定款を紙で作るか「電子定款」にするかどうかを選択する必要があります。電子定款にしておいた方が後々便利ですし、紙の定款を作るためには印紙代が 4 万円かかるというデメリットもあるので、よほどの理由がない限り電子定款にすることをおすすめします。

このへんをネットで調べながら入力しても、おそらく 1 時間以内に入力完了しました。

4. 行政書士に手数料を支払う

前項で入力した内容は、「会社設立 freee」が契約している行政書士に転送され、定款が作成されますが、ここで行政書士に手数料として 5,000 円を支払う必要があります。指定された銀行口座に 5,000 円を振り込み、入金が確認されると作業に着手されます。

入力内容に特に問題がなければ、行政書士によって作成された電子定款が PDF ファイルで届きます。

5. 資本金を払い込む

登記申請の際には資本金が払い込まれたことを法務局に知らせる必要があります。

しかしながらまだ会社設立前ですので、会社名義の銀行口座はありません。そこで代表者(自分)の名義の銀行口座に、資本金として申請書類に記載する予定の金額を入金し、その入金が記録された通帳のコピーをとります(実際には通帳の表紙などのコピーも必要)。

この作業を行うためには資本金額に相当する現金が必要ですが、外部に支払うわけではなく自分自身の財布と口座との間を移動させるだけなので、設立コストには含めないことにします。

6. 登記申請書類一式を用意する

電子定款は PDF ファイルの中に電子署名が含まれているので、ファイルを電子データで法務局に提出するために CD-R にコピーします(USB メモリなどでは不可)。

前述 3. で「会社設立 freee」のサイトに必要事項を入力すれば、登記申請に必要な書類は自動的に PDF ファイルで作成されるので、これをダウンロードして印刷し、所定の位置に個人や会社の実印を捺印します。
また登記申請書類の添付書類として、次の書類を用意します。

  • 個人の実印に関する印鑑証明
  • 上記 5. で入金した通帳のコピー

7. 登記申請書類一式を法務局に提出する

前述 6. で用意した書類一式を法務局に提出します。ここで登録免許税として 6 万円を払う必要があるため、窓口に行く前に 6 万円分の収入印紙を購入し、これを書類一式とともに窓口に提出します。書類を提出すると手続完了予定日のスタンプが押された控えを渡されるので、持って帰ります。

8. 印鑑カード、印鑑証明書、登記簿謄本の交付を受ける

前述 7. で受け取った控えに記載された手続完了予定日以降に法務局に行って、新たに登記された会社の印鑑カードを発行してもらい、登記簿謄本や印鑑証明書を交付してもらいます。
(このときに必要な書類も「会社設立 freee」で自動的に作成されます。)

印鑑証明書と登記簿謄本はこの先の手続きで必要になるので、それぞれ数部ずつ交付してもらう必要があります。ちなみに本稿で説明している、全ての会社に必要な手続きだけでも登記簿謄本が 4 部必要になりますし、会社として銀行口座を作るためにも登記簿謄本や印鑑証明書が必要になりますので、それらを見越して必要数を交付してもらう必要があります。

なお登記簿謄本の交付には 1 部あたり 600 円の手数料がかかります。

一応ここまでで会社が設立できたことになりますが、この会社で事業活動を行うためには、税務署および年金事務所への届け出も必要ですので、この後の届け出についても記載します。

なお、正式な会社設立日は、前述 7. で法務局に書類を提出した日となりますが、以下の手続きを進めるためには登記簿謄本などが必要になるため、前述 8. まで進まないとこの先の手続きはできません。

9. 税務署に法人設立届出書などを出す

所轄の税務署に次の書類を提出します。

  • 法人設立届出書
  • 法人税の青色申告の承認申請書
  • 給与支払事務所等の開設届出書
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

なお、法人設立届出書を提出する際には登記簿謄本、定款の写し、設立時の貸借対照表、株主名簿の写しが必要になります。

また、「法人設立届出書」と「法人税の青色申告の承認申請書」については、会社の銀行口座を作る時にこれらの控えを要求される場合があるので、税務署のスタンプが押された控えをもらっておく必要があります。実際には書類を提出する前にコピーをとっておき、窓口で書類を提出する際にコピーの方にもスタンプを押してもらう、という手順でした。

10. 各都道府県の税務事務所と市区町村役場にも法人設立届を提出する

前述 9. は国税に関する届け出なので、都道府県と市町村にも同様の届け出を行います(東京 23 区内の場合は都税事務所に提出すれば区への提出は不要)。このときにも添付書類として登記簿謄本と定款の写しが必要になります。

11. 年金事務所に新規適用届を提出する

全ての会社は社会保険に加入しなければならないため、所轄の年金事務所に新規適用届を提出します。この時に添付書類として登記簿謄本が必要になります。

 

結論

恐らく全ての会社に必要な手続きは以上かと思います。なお本稿では触れませんが、もし従業員を雇用する場合は、さらに必要な手続きがありますのでご注意ください。

ここまでで必要となる費用は次のとおりです。

  • 実印作成: 3,370 円(+ 送料)
  • 定款作成手数料: 5,000 円(+ 振込手数料)
  • 登録免許税: 60,000 円
  • 登記簿謄本交付手数料(少なくとも 4 部必要): 600 円 x 4 = 2,400 円

以上を合計すると 70,770 円となります。

実際にはこれに加えて若干のコピー代や交通費、送料、振込手数料、CD-R メディア代などがかかりますが、それらを加えても 8 万円は超えないでしょう

期間については概ね次のとおりです(電子定款の作成には本来もう少し時間がかかるようですが、今回はたまたま早くできたようです)。

  • 12 月 26 日(木): 作業開始、実印発注、「会社設立 freee」に入力開始
  • 12 月 27 日(金): 電子定款作成完了
  • 12 月 30 日(月): 実印到着
  • (12 月 31 日〜 1 月 5 日は年末年始のため役所関係休業)
  • 1 月 6 日(月): 法務局に書類一式提出
  • 1 月 17 日(金): 法務局にて登記手続き完了
  • 1 月 23 日(木): 税務署、都税事務所、年金事務所に書類提出完了

間に年末年始を挟んだためにロスが発生したのと、1 月 20 〜 22 日に他の予定があって税務署などに行けなかったことを差し引くと、概ね 3 週間程度ということになるかと思います。

そういう訳で、ごくごく大雑把な結論としては、8 万円くらいあれば 3 週間程度で会社を設立できることが分かりました。

(もちろん、本当に大変なのは会社を作った後なのは重々承知しています。)

マレーシアでの怒涛の 2 日間が無事終了

マレーシアに来るのは 3 回目(乗り継ぎのみだったのを含めれば 4 回目)ながらクアラルンプールの街中に入るのは初めてなので、中途半端にアジア慣れして気が緩んで財布を盗まれたりしないように、いつもよりちょっと気をつけて行きました。

今回は BCI アジア地区のカンファレンスで、講演 1 コマとパネルディスカッション 2 コマを務めさせていただき、いろいろな意味で日本では味わえない緊張感が抜けないまま 2 日間を何とかこなした感じです。

講演を引き受けたら参加費がタダになるというので、金に目が眩んで引き受けたものの、日本語でも話したことのない内容で臨んだので、こちらの参加者の方々が興味を持ってもらえるかどうか懸念が残ったまま本番当日を迎えました。加えてパネルディスカッションも日本でよく見られるような予定調和的なスタイル(各パネリストがあらかじめ用意した資料にそって話した後に、打ち合わせ済の質問に答えつつ話を展開する)と違って、その場で質問を投げられたり、参加者からガンガン質問させたりする進行だったので、パネリストとしては気が抜けないセッションになりました。

幸いなことに、見知らぬマレーシア人の方々の中にも頷きながら聞いてくれる人がソコソコおられたし、何人か直接感想を言いに来てくれたので、概ね参加者の方々にとって何かしらプラスになる話ができたようです。

自分の出番が終わった後で、何人かからは結構込み入った質問や相談をされたりしたので、お役に立てて良かったと思うと同時に、自分にとっても勉強になりました。

自分の出番は 2 日目だったので、1 日目は夕食の後に講演の準備や練習をギリギリまで続けざるを得ず、2 日目は終わった後に関係者の夕食に呼ばれて 6 ヶ国宴会で飲み、早朝チェックアウトのためロクに寝られなかったので、無事にクアラルンプールの空港までたどり着いたところでようやくこんな記事を書く余裕ができました。

次回はもう少しゆとりのある日程で来たいなと思いつつ、これからどのような形で業界への貢献を続けていこうかと考え始めています。