合奏専用眼鏡を投入

乱視プラス老眼のため、約 5 年前にデスクワーク用の中近両用4 年前に日常生活用の遠近両用眼鏡を作ってもらって以来、すっかり眼鏡オヤジが定着してきましたが、実は楽器を演奏するときの眼鏡選びにはずっと答えが見つかっていませんでした

どうしても楽器を演奏するときに、顔の角度がある程度動くんですよね。

もともと顔が若干下向きになる癖があるので、眼鏡をかけると指揮者がちょうど上側のフレームと重なって見にくくなります。それを防ぐために Euphonium や Baritone を吹くときには楽器と体の間にクッションを入れて、顔が少し上を向くように矯正しようとしたのですが、やはり演奏上あまり良くなさそうだという結論に落ち着きました。

また、楽譜の中で読みたいところが、ちょうど眼鏡の下側の老眼対策ゾーンに重なると、かなりぼやけてしまって、小さめの楽譜だとたまに読み間違えるようになりました。

3 年近く前には「演奏用に新しく眼鏡を作るのもちょっとやり過ぎな感じもします」などと思っていたのですが、乱視が進行したのか老眼が進行したのか(もしくは両方か)、最近特に楽譜の見間違えによるミスが増えてきました(もちろん楽譜以外の理由による凡ミスもあります)。そこで思い切って合奏専用眼鏡を作ることにしました。

楽譜を持って眼鏡屋に行き、合奏のときの譜面台の場所を想定して楽譜を置いた状態で乱視矯正が最適になるように調整してもらい、老眼対策は捨てて乱視対策一本にしました。

フレームについてはアンダーリムのものもいくつか試しましたが、結局のところ今回選んだ丸形のものの方が、縦方向の視界が広いようでした。丸眼鏡というと古臭い印象になるかと思いましたが、こちらはデザインのせいか色のおかげか、さほど古臭い感じはしないと思いました(まあ主観ですが)。

 

これまで作ってもらったときはもっと納期が長かったので、今回もそれなりに時間がかかると覚悟していましたが、今回は遠近両用や中近両用ではないので時間がかからないらしく、超短納期でした。

眼鏡屋に行ったのは水曜日でしたが、金曜日には仕上がるとの事だったので、宅急便での配達をお願いし、土曜日の午前中に届きました。

こんな写真では伝わらないと思いますが、エアキャップを止めるテープを切るのがもったいないくらい、とても丁寧に梱包されて届きました。結局切りましたけどね。

 

午後から吹奏楽団の練習だったので、早速実戦投入しました。

期待どおり、顔の角度が多少変わっても、楽譜全体がはっきり見えます。逆に、楽譜以外はほとんど全て、少しボケて見えます。くっきり見えるのは一列前の人くらいまででしょうか。これは想定していたとおりです。

当然ながら指揮者の顔もあまりはっきり見えません(表情くらいは分かります)。指揮者の先生方には申し訳ありませんが、先生方の顔がはっきり見えることはあまり重要ではないので、良しとします。

 

今日の合奏全体を通して、楽譜が見にくいということは全くありませんでした。なかなか良さげなので、ブラスバンドやオーケストラでも早く試してみたいところです。

眼鏡の選択肢が増えると、人生がさらに楽しくなりますね。



eLTAX でさんざん回り道させられた話(平井デジタル改革担当大臣何とかしてくれ)

昨年設立した会社の決算処理や確定申告などの作業の経緯を書きましたが、この作業で作成した電子申告用のデータを e-TAXeLTAX で送信する際に、自分がたまたま Mac ユーザーだったばっかりに、無用な回り道を何度もさせられたので、来年の確定申告の際に同じような回り道をしなくて済むように、経緯を書いておきたいと思います。

 

なお、以下の内容の半分以上は愚痴ですし、日常的に Windows を使っている方々には価値がほとんどない情報が続きます。

 

[うちの IT 環境]

日常業務には Mac を使っています。ごく稀に(特にこういう作業の時に)Windows が必要になるので、BootCamp で Windows 10 の環境も用意してあります。

電子署名は NTT ネオメイトの「e-Probatio PS2」の電子認証カードを使っています。カードリーダーは同社の動作確認済みリストに載っていた uTrust 2700 R です(中古品をネットで見つけて購入)。

 

[e-TAX]

法人税と消費税(つまり国税)に関する電子申告には e-TAX を使います。

これは私個人の確定申告を昨年実施した時や、上半期の源泉徴収所得税の処理をした時に既に使った経験があったので、さほど問題はありませんでした。

下の方に掲載した表にあるように、Mac でも使えることになっているのですが、上半期の源泉徴収所得税の処理をした時には、Mac だと電子署名の読み込みが出来なかったため、やむを得ず BootCamp で Windows 10 に切り替えて Chrome で処理しました。

(個人の確定申告を行ったときは、Mac + Safari で、マイナンバーカードによる電子署名付与も含めて処理できたような気がするのですが、いまいち記憶がはっきりしません。いずれにしても法人向けの処理に関しては Mac ではうまくいきませんでした。)

したがって今回は最初からおとなしく Windows 10 + Chrome で無難に処理しました。

 

[eLTAX]

問題は今回始めて使用する eLTAX でした。これは都に対する法人都民税の申告に使うものです。

e-TAX と eLTAX とで動作環境が微妙に異なります。2021 年 2 月時点での状況は次のようになります。ちなみに eLTAX には「Web 版」と「DL 版」(ダウンロード版/Windows 用のみ)とがありますが、DL 版の推奨環境は Web 版と同じです。

OS e-TAX eLTAX(Web 版)
Win OS:

  • Microsoft Windows 8.1(デスクトップモードのみ)
  • Microsoft Windows 10

ブラウザ:

  • Microsoft Internet Explorer 11
  • Microsoft Edge(Chromium)
  • Google Chrome
OS:

  • Microsoft Windows 7 Service Pack 1
  • Microsoft Windows 8.1
  • Microsoft Windows 10

ブラウザ:

  • Microsoft Internet Explorer 11.0(32bit版のみ)
  • Microsoft Edge(Microsoft Windows 10をご利用の場合のみ)
Mac OS:

  • mac OS 10.13
  • mac OS 10.14
  • mac OS 10.15
  • mac OS 11

ブラウザ:

  • Safari 13.1(OS 10.13 の場合)
  • Safari 14.0(OS 10.14 以降の場合)
OS:

  • Mac OS10.12
  • Mac OS10.13
  • Mac OS10.14

ブラウザ:

  • Safariの最新バージョン

私としてはやはり BootCamp で再起動するのは面倒なので、できるだけ Mac で済ませたいと思うわけです。しかし e-TAX が「一応」最新 OS までカバーされている一方で、eLTAX は Mac OS 10.14 で止まってるんですよね(うちのマシンは 10.15)。まあでも「推奨」環境なので、出来ないことはないかも知れないと思い、一応 Mac でやってみることにしました。

 

eLTAX で申告を行うためには、まず最初に「利用者 ID」を取得する必要があります。

まずはここから、と思って手続きを進めようと思ったときに、表示された画面がこちらです。

…….。

トップページに戻ってよく見たら、利用時間が平日の 8:30~24:00 と書かれていました。

そりゃ夜中までこんな作業をしている私も悪いと思いますけど、なんで利用時間を制限する必要があるんですかね。たまにメンテナンスのために止める程度なら分かりますけど。もしかして裏で誰かが手作業で処理してるの?

 

翌朝あらためて「利用者 ID」の取得をします。指定された項目を入力したら電子署名を読み込むんですが、ここまで来たところで「MacOS では公的個人認証サービス(要はマイナンバーカードですね)に基づく電子証明書のみ利用可能」であることが分かります。弊社の電子署名は NTT ネオメイトで発行してもらった「e-Probatio PS2」です。

 

「先に言えよ」と思いました。

 

気を取り直して BootCamp で Windows 10 に切り替え、Edge で作業を進めます。eLTAX の Web 版を使うためには、ブラウザにプラグインをインストールする必要があるという表示が出たので、指定されたリンクをクリックしてプラグインをインストールします。

ここで表示されたのが Chrome 用プラグインだったので、何か間違えたかと思いましたが、Edge が Chromium ベースだから Chrome 用プラグインが使えるということのようでした。普段 Windows を使わないため、そんなことに興味もなく、全く知らなかったので、これを確認するために Web でいろいろ調べる必要があり、再び時間を消費しました。

そんなこんなで「利用者 ID」取得の手続きを済ませ、これはすぐ発行されたので、eLTAX の Web 版でログインし、いよいよ申告データの送信です。しかし、いくら探しても申告データを送信するためのボタンが見当たりません。

eLTAX の Web サイトをあちこち探して、ようやく分かったことは、Web 版には申告のデータを送信する機能は無いということでした。

そういう訳で DL 版をインストールし、ログインして、申告データを送信しました…..。

 

今回の作業にどれだけ時間がかかったのか、測っていたわけでは無いので明確には分かりませんが、eLTAX に関する作業だけで恐らく 3 時間くらいはかかっています。

終わってからあらためて振り返ってみると、「電子申告データを送信するためには Windows で DL 版を使わなければならない」ということが最初から分かっていれば、30 分程度で済んだかも知れません。長くても 1 時間はかからなかったと思います。

こういう制約条件も含めて動作環境のページに全部書いておいてくれれば、あんな回り道をしなくて済んだんですよ。こういう分かりにくさは本当に何とかしてほしいと思います。

もちろんマニュアルはひととおり用意されています。PDF で Web 版用が 407 ページ、DL 版用が 462 ページに及ぶ大変立派なマニュアルです。これらををちゃんと読めば上記のことは全部書いてあります。しかし今回行った作業は全て、「DL 版を使わなければならない」という制約さえ知っていれば、マニュアルなど見なくてもできる簡単な作業でした。さらにマニュアルが置いてある場所が分かりにくく、特に DL 版のマニュアルを見つけたのは、全ての作業が終わった後でした

 

こういう分かりにくさや中途半端な制約条件も、デジタル庁ができたら改善されるんですかね……。




初めての会社決算処理と確定申告作業をようやく完了

昨年設立した会社の決算処理や確定申告などの作業を、一昨日ようやく終えました。

まあ一般的には文章にするほどの話題でもないのですが、会社の決算処理や確定申告などの作業が全く未経験だったこともあって、やり方が分かるまでに時間がかかったり、余計な回り道をしたりしたので、備忘を兼ねて書いておきたいと思います。

いま改めて振り返ってみても、手順が最初から分かっていれば、もっと短時間で済んだはずですので、次回はもっと楽になるはずだと信じて、今回の経緯をまとめます。

 

[日頃の会計処理]

日頃の会計処理には「会計 freee」を使っています(ベーシックプラン)。

freee にどんどん入力していくだけなので楽勝です。しかも銀行口座やクレジットカードを連携しておけば、かなりの入力が自動化できます。本当に楽。

システムが自動的に複式簿記で処理してくれるので、簿記会計の知識が皆無にもかかわらず最初から青色申告です。今のところ税理士さんのお世話になる必要もなさそうです。

しかしながら、決算や確定申告の時にどうなるかを知らないまま、あまり深く考えずに適当に入力していたデータが多かったので、決算処理の際にまとめて多数のデータを修正するハメになり、大変な思いをしました。やっぱり最初にある程度の勉強はしておくべきでしたね。

まあ今回理解して修正できたので、今期からは恐らく大丈夫だと思います。

 

[消費税申告書の作成]

本来は、設立したばかりの小さい会社ならば消費税の納税義務が免除されるのですが、弊社は諸事情により納税事業者です。しかも簡易課税に切り替える手続きを忘れたので、2021 年度までは「一般課税」で処理しなければなりません。何とも間抜けな話です。

まあ、そうは言っても freee だとこの辺は自動で処理してくれるので、簡易課税に切り替えても作業量はあまり変わらないかもしれません。

電子申告用のデータも freee が自動で吐き出してくれるので、あとは e-TAX で送信すれば OK。楽勝です。

 

[法人税申告書作成]

freee では法人税申告書を作成するための機能が「申告 freee」として別のアプリケーションになっています。会計 freee の[決算]メニューから「法人税申告」を選ぶと「申告 freee」に切り替わります。必要なデータは会計 freee から自動的に転記されるので、別アプリになっていることを意識せずに、申告書作成作業に入れます(一応、「ここからは申告 freee です」みたいな画面はありました)。

画面の説明にしたがって転記されたデータを確認しつつ様々なデータを入力し、いよいよ帳票が自動的に作成されるという段階になったところで、「ここから先の機能を使うなら金払え」という画面が登場します。

 

私が最も嫌いな展開です

「先に言えよ」と思いました。

 

ほぼほぼデータの入力を済ませ、会計データもうまく移行されて便利だよねーと思わせてから、おもむろに金額を表示してきます。年額 24,800 円(税別)です。「年額」ということになっていますが、実質的にはこの時期にしか使わないアプリケーションです。

もちろん同社の Web サイトをちゃんと見れば価格もちゃんと書いてあります。知らなかった私の落ち度と言われればそれまでですよ。しかしながら会計 freee の[決算]メニューからスルスル誘導された挙げ句に、金額を後出しされて寸止め食らった状況が非常に腹立たしく、一旦作業を止めました。

 

こんな汚いやりかたで買わせに来るソフトなんか使うもんかと思い、随分前に税務署から分厚い封筒で届いた確定申告用資料一式をあらためて見直したり、国税庁をはじめ多数の Web サイトをあたって、確定申告書の作り方を探したのですが、全く手がかりすら掴めませんでした。

最も困ったのは、税務署からの通知には「確定申告書」を 1 部提出するように書いてあるのですが、「確定申告書」という帳票が見当たらないことでした。どうも確定申告に必要な様々な書類をまとめて「確定申告書」と呼ぶようなのですが(これも未だに確証なし)、「確定申告書」がどういうものかを分からないのに確定申告書を作れる訳がありません。結局、「申告 freee」の軍門に下る決意をし、支払手続きを渋々済ませました。

 

「軍門に下る」とか大げさだなと思われるかもしれませんが、要はそれだけムカついたということです。単に楽になる程度のソフトだったら絶対使わなかったと思います。しかしながら本件に関しては、自分に知識もスキルも経験もない分野なので、使わざるを得ませんでした。

 

心を入れ替えて「申告 freee」での作業を再開すると、提出すべき多数の添付書類にデータが自動的に転記され、集計されています。しかし日々のデータ入力で取引先などの設定が適当だったなどの理由で、多くの欄に「その他」と記入されてしまいました。

さすがにこれだけ多くの項目が「その他」はまずいだろうと思って、該当するデータを探して修正するという作業を、かなりの時間を費やして行いました。

中には勘定科目を間違えていたものなどもあったので、入力済みのデータの勘定科目を変更するという作業も発生しました。その結果として財務諸表上の数字が変わったり消費税の計算が変わったりしたので、消費税申告書の作成をやり直したという回り道も経験しました。

このような作業を重ねて、添付書類の内容が整ったことを確認できたところで、電子申告用のデータを出力し、ようやく作業完了となりました。

 

この後、これらのデータを送信するところで再び壁にぶち当たるのですが、その辺は別途まとめます




PCR 検査について論じるために(たぶん)最低限知っておくべきこと

あらかじめお断りしておきますが、私は医療関係の専門家ではありませんので、この記事に書かれている内容が絶対に正しいという保証はできません。しかしながらこの記事の最後に記載した「参考文献」に基づいて書いているので、大事なところは外していないと思います。

したがって私自身はこの記事を読んだ結果に関して何ら責任を負いません。下記の「参考文献」およびその他の資料を使って、ご自分の責任で調査、確認されることをお勧めします。

 


一般に、検査には誤差や誤検出がつきもので、100% 正確な検査は恐らく無いと思います。新型コロナウイルスの PCR 検査ももちろん例外ではありません。

新型コロナウイルスの PCR 検査の場合、検査の正しさを表す指標として「感度」と「特異度」があります。感度は、感染している人が正しく「陽性」になる割合です。また特異度は、感染していない人が正しく「陰性」になる割合です。

参考文献 1. によると、新型コロナウイルスの PCR 検査の感度は 70% 程度、特異度は 95% 程度のようです。つまり、既に感染している人 100 人が PCR 検査を受けても 30 人くらいは陰性になることになります。これを「偽陰性」といいます。逆に、感染していないことが確実に分かっている人を 100 人集めて PCR 検査を行うと、5 人くらいは陽性になるということで、これは「偽陽性」といいます。

ここで、次のような例題を考えます。

特に新型コロナウイルスの感染が疑われるような症状がなく、他の感染者との濃厚接触もない A さんが、新型コロナウイルスの PCR 検査を受け、その結果が「陽性」だったとします。この場合、この A さんが本当に新型コロナウイルスに感染している可能性はどのくらいでしょうか?

この問いに対する答えは前提条件によってかなり変わりますが、いずれにしても驚くほど低い数字になります。以下、A さんが東京都民だと想定して説明を進めます。


前提条件

  • 2021 年 1 月 1 日時点での東京都の人口は 13,960,236 人(注 1)。
  • 2021 年 2 月 4 日時点での東京都での PCR 検査陽性者数(累計)は 102,200 人(注 2)。
  • 単純化のために、ここでは「PCR 検査陽性者数(累計)」=「現在の感染者数」とみなして考えます(注 3)。

 

考え方と計算方法

まず、感染が疑われるような症状がなく、他の感染者との濃厚接触もないのに、実は A さんが既に感染している可能性は、次のようになります。

(現在の感染者数)÷(東京都の人口)≒ 0.00732  (0.732%) --- [α]

次に、A さんの検査結果については、次の表のとおり 4 通りが考えられます。

感染している 感染していない
陽性 (1) (2)
陰性 (3) (4)

ここで「感染している」の列については感度を、「感染していない」の列については特異度を適用して計算します。

まず (1) と (3) については、A さんが感染している可能性が 0.732%、検査の感度が 70% なので、次のようになります。

(1) = 0.00732 × 0.7 ≒ 0.00512
(3) = 0.00732 × (1 - 0.7) ≒ 0.00220

また (2) と (4) については、A さんが感染していない可能性が(100% – 0.732%)すなわち 99.268%、検査の特異度が 95% なので、次のようになります。

(2) = 0.99268 × (1 - 0.95) ≒ 0.04963
(4) = 0.99268 × 0.95 ≒ 0.94305

したがって、検査結果が陽性だった A さんが感染している可能性は次のようになります。

(1) ÷ {(1) + (2)}= 0.00512 ÷ ( 0.00512 + 0.04963 ) ≒ 0.09352  (9.352%)

 

考察と注意事項

症状や他の感染者との濃厚接触など、A さんが感染している可能性を示唆するような材料がない状態で検査を行った場合、結果が陽性だったとしても、それは 9 割以上の確率で偽陽性だということになります。つまり、症状のない人に対して闇雲に PCR 検査を実施すると、偽陽性で隔離される人がどんどん増えるということになります。

しかしながら、これは「PCR 検査は役に立たない」という趣旨ではありません。感染が疑われる症状がある人や、他の感染者との濃厚接触がある方の場合は、上の例題の A さんよりも既に感染している可能性(上の [α])が大きくなるので、計算結果が大幅に異なります。

例えば、医師が診断した結果「感染している可能性は五分五分だ」と考えた場合、上の [α] を 0.5 として同様に計算すると、検査で陽性になった人が本当に感染している確率は約 93% になります。もっと控えめに、[α] を 0.2 にしても、約 78% になります。したがって、医師の診断などの方法で、感染している可能性を事前に見積もることと併用すれば、PCR 検査は信頼できる、ということになると思われます。

もちろん、感染しても無症状で、なおかつ他の人に感染を広げるという方が一定割合存在することが分かっているので、「偽陽性のリスクがあるとしても徹底的に検査を行うべきだ」という考え方もあるかも知れません。しかしその場合は、1 人の無症状感染者を見つけるために 9 人の偽陽性者を隔離するという犠牲を受け入れる必要があります。これを受け入れることが妥当なのかは私には分かりません。

 

注釈

  1. 東京都 Web サイト「「東京都の人口(推計)」の概要(令和3年1月1日現在)」 https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/01/28/01.html (2021/2/5 閲覧)
  2. 週刊東洋経済 ONLINE「新型コロナウイルス国内感染の状況」 https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/ (2021/2/5 閲覧)
  3. もちろん、これまで検査を受けて陽性になった方々の中にも、ある程度の偽陽性が含まれている可能性があります。また一度感染した後に回復された方も多数おられるはずですし、感染しているのに見つかっていない感染者も多数おられると思います。しかしながら、これらを見積もることは出来ないので、ここでは全て無視して考えます。

 

参考文献

  1. 岩田健太郎(2020)『丁寧に考える新型コロナ』光文社新書《Amazon リンク
  2. 結城浩(2020)『数学ガールの秘密ノート/確率の冒険』SBクリエイティブ《Amazon リンク

 




佐藤采香さんの音が沁みる『軒下ランプ』

佐藤采香さんの演奏は数年前にどこかの楽器屋のホールで聴かせていただいたことがあって、しっかり芯があるのに柔らかい音色が印象的だったことを覚えていました。

そんな佐藤采香さんの 2 枚目のアルバムを密林で昨年予約したところ昨日届いたので、早速聴いてみました。

今や世界的に CD よりも圧倒的にダウンロード販売が多くなっていて、CD の方が多く売れているのは日本くらいだ、という話を随分前から聞くようになりましたが、こういうデザインや装丁だと、やっぱり CD 買ってよかったと思いますね。収録されている解説も佐藤采香さんご自身によるもので、情報量も多く読み応えがあります。

ーー

アルバム冒頭に収められているタイトル曲の「軒下ランプ」は、とても叙情的でいい曲だと思いました。佐藤采香さんの音色の暖かみもランプっぽい感じがして、曲のイメージとよく合ってるように思います。他の(特に外国の)方々の演奏も聴いてみたいと思える曲でした。

この CD で最も驚いたのは Bach の Partita でした。まるで Bach が Euphonium のために作曲したかのように、自然に音楽が流れてくる感じがしました。Beethoven や Mendelssohn も、「チェロのための曲を頑張ってユーフォでやってみました!」という感じが全く無く、余計なことを一切考えずに曲の良さを味わえる感じです。

私はこのような古い時代の曲は Euphonium には向かない(似合わない)と勝手に思っていたのですが、いかに自分が浅はかだったか思い知らされ、反省しました。

Waespi のコンチェルトでは Bach の時とは対象的にアグレッシブな演奏が聴けます。長いカデンツァも含めて聴いている方もアドレナリン高めになる曲で、リサイタルで生の迫力を味わってみたいと感じました。最後は「え?」と思うような意外な終わり方で、演奏が終わった瞬間にドヤ顔になっている姿を想像しました。

最後に収録されている Sparke の Song for Ina は、無理だとは知りつつ自分もこういう風に吹きたいと心底から思える演奏でした。この曲はこれまでいろいろな方々の演奏を聴いてきましたが、それらの中で最も優しさが深い演奏だと感じました。清水初海さんのピアノがまた優しくて、アルバムの最後に気持ちいい余韻が残ります。

ーー

《Amazon リンク》

軒下ランプ/佐藤采香・清水初海




安ワインでもグラスを変えれば香りが分かりやすくなるんですけど

新型コロナウイルスの影響で、外で酒を飲むことが少なくなったこともあって、最近は自宅でほぼ毎日、夕食時にワインを飲んでいます。もちろん安ワインです。

たまに行くバーのオーナーから、何年か前に「モンテプルチアーノ・ダブルッツォ」(Montepulciano d’Abruzzo)という赤ワインを勧めてもらって飲んだときに、美味しかったのを覚えていたのですが、これが近所のスーパーで 1,100 円くらいで売ってるのを見つけました。

もちろん店で飲んだものと全く同じものではありませんが、買って飲んでみたら味がしっかりしてて、なかなか良かったので、それ以来常備しています。

普段はワイングラスも使わず、ガラスのコップで無造作に飲んでますが、ちょっとしたご縁でワイングラスをもらったので、試しに使ってみました。

しかもリーデルですよ。Don Julio というテキーラの販促品だそうで非売品です。テキーラをワイングラスで飲むって想像しにくいですが。

こんな大きくて品のあるグラスを使い慣れないので、どのくらい注ぐのがいいのかさえ分かりません。とりあえずこのくらい。

やはり大容量大口径(あまりグラスでこういう表現は使わないかもしれませんが)のグラスだと香りが分かりやすいですね。最初のひと口で「おっ」と思うくらいの違いがありました。

しかしグラスが薄いので、持つのも洗うのも緊張します。特に洗うときは、このグラスを洗う前に台所を一旦片付けたくなるくらいで、これを毎日続けるのは少々キツい…….。

 

…..結局再び箱に収納しました。

 

明日からは普通のグラスにして、デラックスなグラスはたまにちょっと気分を変えたいときにでも再び使おうと思います。




ワイシャツ退役

今日、ワイシャツを一枚退役させました。

もちろんワイシャツを退役させるのは、これが初めてではありませんが、買った時期がわかるワイシャツを退役することにしたので、何となく書いておきます。

私は首が細くて腕が長いために既製品のワイシャツではサイズが合わないので、仕事用のワイシャツは全てフルオーダーです。ワイシャツをオーダーで作ってくれる店はいろいろありますが、私はほとんどエフワンでお願いしています。

エフワンでお願いするとネームを 4 文字まで入れてくれます。一般的にはイニシャルを入れてもらう方が多いと思いますが、私は仕立て上がりの年月を入れてもらっています。今回退役させたワイシャツは 2016 年 2 月に仕立て上がりだったので、次のように入っています。

ちょうど 5 年前から着ていたことになりますが、直近 1 年弱は新型コロナウイルスの影響で背広を着る機会が激減したので、実質的な就役期間は 4 年少々でした。度重なる洗濯の影響で若干縮んで袖周りがキツくなってきたのと、袖口が若干すり減ってきたので、退役させることにしました。

この先も当分の間は背広で外出する機会が増えないと思われるので、当分は追加発注しませんが、パンデミックが収束したらまた発注したいと思います。




脅迫メール受信 (^_^;

本日私のメールアドレスに脅迫メールが届きました。文面を晒そうと思いましたが、全く同じものが Web 上で見つかりましたので、リンクを張らせていただきます。

 

別館.net.amigo「【迷惑メール】 Jeffrey Taylor「あなたのパスワードを知ってるぞ」送信元がClark@adsbexchage.com」(2020/8/10)
https://ami-go45.hatenablog.com/entry/2020/08/10/173546

 

私に届いたものも文面はほぼ同じ。ただし送信元の名前は「Albert Jackson」で、パスワードも私が過去に使っていたパスワードが書かれていました。しかもメールのタイトルがその古いパスワードだったので、見たときはさすがに驚きました。おそらく過去にどこかのサイトで発生した情報漏えい事件で流出したものだと思いますが、その手の事件はあまりにたくさんありましたし、サイト側が気づいていない事件や公開していない案件もあると思いますので、自分のデータがいつ流出したのかも分かりません。

なお要求金額は $4090 になっていました。ずいぶんと値上げしたなぁオイ。

文面をザックリ訳すと、

お前がアダルトサイトにアクセスしている間に、サイトに仕込んだマルウェアでお前の PC の画面とカメラにアクセスした上に、お前のメッセンジャー、FB、メールアカウントから連絡先情報を盗んだぞ。

さらにお前が見たエロ動画と、それを見てるお前自身を組み合わせた動画を作ったから、これをお前の友達や家族、仕事相手などにバラまかれたくなかったら、さっさとビットコインで $4090 送金しろ。

というような内容です。

まあ私自身はそのようなアダルトサイトにアクセスしていませんし、連絡先の情報を含むようなサービスに関しては 2 段階認証を使っているので、全く心配していません。

しかしながら、古いとはいえパスワードを知られているというのは気持ち悪いので、主だったパスワードをひととおり変更し、PC の HDD をひととおりスキャンしておきました。




読書メモ『数学ガールの秘密ノート/確率の冒険』(結城浩)

私は学生時代から数学が苦手です。高校の途中まではそのような苦手意識はなく、むしろ得意な方だと思っていましたが、高校の数学で微分方程式やラプラス変換がサッパリ分からずに挫折して、そこから立ち直ることができませんでした。

ところが数学が苦手であるにもかかわらず物理は得意でしたが、先生からは「普通はそういうのはあり得ない」と言われました。数学は物理現象を表現する言語なので、数学がわからないのに物理が得意な訳がない、ということだったのでしょう。実は高校の物理の教科書で、本来は微分・積分を使って説明すべきものが、(学習の順序が逆であるため)あえて微分・積分を使わない方法で説明されていることを知ったのは、大学に入った後でした。

大学は理工学部機械工学科に進学しましたが、当然ながら数学で苦労することになります。高度な微分・積分や微分方程式、フーリエ級数などが必要となる科目(流体力学、振動工学、伝熱工学など)については単位を取れませんでした。
(それ以外の科目のおかげで無事に卒業はできました。)

前置きが長くなりましたが、そのくらい数学に根強い苦手意識を持っている私にとっても、本書は読みやすく分かりやすいと思いました。特に、確率を考える上で間違えやすいポイント(例えば、どこからどこまでを「全体」と考えるのか、など)の説明が、これ以上丁寧に説明できないと思えるくらい丁寧です。

確率に関する数式(「∩」や「∪」を含むやつ)が使われていますが、このような数式が苦手であれば、数式の部分を読み飛ばしても、大事な部分は理解できると思います。

また、時節柄ということもあるでしょうが、病気の検査に関する説明にもかなりの分量が割かれています。本書中では「新型コロナウイルス」とか「PCR 検査」という言葉は使われていませんが、ある検査で陽性だった人が実際にその病気にかかっている確率を、その検査の感度と特異度を考慮して求める、という例題に基づいた説明があります。こういう問題を理解した人が増えると、闇雲に PCR 検査対象を広げることの害悪がもう少し世間でも認識されるのではないかと思います(もちろん、感染の疑いがある方や濃厚接触者の方などに対する検査体制は充実すべきだと思います)。

 

ちなみに PCR 検査の感度や特異度に関しては、下記のページに詳しい説明があります。

東京大学 保健・健康推進本部 保健センター Web サイト:
http://www.hc.u-tokyo.ac.jp/covid-19/tests/

 

著者の「数学ガール」シリーズは既に多数出版されていますが、自分が高校生くらいのときに、こういう本があったら良かったと思える本です。まだ本シリーズには微分方程式とかラプラス変換などを扱う本は無いようですが、もしそのような本が発行されたら、私の数学コンプレックスも少しは軽くなるかもしれません。今さらですが。

 

【書籍情報】

結城浩(2020)『数学ガールの秘密ノート/確率の冒険』SBクリエイティブ

Amazon リンク




読書メモ『理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ! 』(西浦博・川端裕人)

本書は、2020 年に発生した新型コロナウイルスのパンデミックに際して「8 割おじさん」として突如有名になった、京都大学の西浦博教授(当時は北海道大学教授)に、作家の川端裕人氏が数回に分けて実施した Zoom でのインタビューで聞き取りを行った内容をもとに書き起こされたものです。また最後に雑誌『中央公論』2020 年 12 月号に掲載された両名の対談記事が、加筆・再構成されて収録されています。

西浦先生はクラスター対策班の活動を中心に激務をこなされた上に、政府や自治体、一部の専門家、一般市民など各方面から名指しで批判されたり、脅迫や殺害予告を受けたりと、大変な思いをされています。そのような経験をしてもなお感染拡大防止に関する対策や研究に尽力され、さらにはこのような本を世に出して下さって、本当に有難いことだと思います。

本書では、2019 年 12 月の終わりに中国で新しい感染症が発生していることが分かった直後から、俗に専門家会議の「卒業論文」と呼ばれている資料が発表された 6 月 24 日までを中心に、西浦先生ご自身およびクラスター対策班や、専門家会議などの活動内容が詳細に綴られています。また、西浦先生から見えた範囲での政府や自治体の動き、政治家や官僚の言動などについても具体的に記述されています。国内で新型コロナウイルス感染者が発生して以来、政府や専門家会議からいろいろな情報やメッセージが発出され、また政府や自治体によって様々な施策が講じられてきましたが、それらの舞台裏がかなり具体的に明らかになっている貴重な本だと思います。

特に私の印象に残ったのは、3 月 30 日に東京都知事が記者会見で発表した、夜間の外出自粛の呼びかけに関するやりとりの場面です。3 月 24 日に西浦先生が都知事と面会して本件について進言した際、都知事や秘書などから「先生がこれを発表してくれますか?」と言われ、西浦先生はその場でこれを承諾します。しかし厚労省は、これを西浦先生が発表すると厚労省を代表して発言しているように伝わってしまうことを懸念して、これに待ったをかけ、発表の方法(どちらが発表するか)や表現などについて延々と都との間で調整(?)し、30 日にようやく都からの発表ということで決着します。この原因が両者の消極的な姿勢によるものなのか、法律や制度の不備などによって責任の所在が不明確だからなのか、私には分かりませんが、結果としては 5 日程度の時間を空費しているように思えます。現在でも政府と自治体との間で似たようなことが発生していると思われるシーンが度々見られますが、このような問題は当分解決することは無さそうです。

また、本書の中で西浦先生が比較的多くの分量を割いておられるテーマのひとつは、本件に関するリスクコミュニケーションの大切さや難しさだろうと思います。西浦先生はご自身がリスクコミュニケーションに関して失敗したと自省しておられると同時に、政府や自治体、専門家会議などにおけるリスクコミュニケーションに関する課題について問題提起されています。これについては、情報の出し方が改善されるべきであることはもちろんですが、コミュニケーションが情報の出し手と受け手との間での双方向のやりとりである以上、情報の受け手である私たち一般市民も改善していくべきことが、たくさんあるはずで、本書を読むことが、リスク情報の受け手として、より良いリスクコミュニケーションを目指す上でも大変役に立つのではないかと思います。少なくとも私自身にとっては大変勉強になりました。

 

なお、本書を知るきっかけとなったのは岩田健太郎先生のブログでした。本書が発行された直後にブログにて紹介してくださったおかげで、私も早い時期にこの本を読むことができ、大変感謝しています。

 

【書籍情報】

西浦博・川端裕人(2020)『理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ! 』中央公論新社

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読書メモ『丁寧に考える新型コロナ』(岩田健太郎)

私がこの本を買った最大の理由は、巻末に収められている西浦博先生との特別対談を読みたかったためでした。そして実際に読んでみたところ、この対談のためだけに買う価値のある本だったと納得しました。紙媒体でのページ数は分かりませんが、kindle だと全体の分量の三割弱が特別対談に割かれているようです。

西浦先生(「8 割おじさん」として有名になった京都大学教授)との対談では、感染症に関する数理モデルや、病院や保健所を中心とした感染症対策の現場の状況、政府の施策やこれに関する議論などについて、お二人が意見交換されています。お二人とも専門分野や立場が異なるので、物事の見え方も当然異なっていると思いますが、そのような違いをお互いに認めた上で対話されていることもあって、お二人のご経験や、見聞きされたこと、ご自身の考えなどが具体的に語られており、とても勉強になる内容でした。

本書は新型コロナウイルス感染症について、校正時点(2020 年 8 月末)までに分かっている事実に基づいて、タイトルの通り丁寧に、私のような素人に対しても分かりやすいように書かれています。

本書の冒頭で「はじめに」で述べられているとおり、「分かりやすく説明する」ということに関して、誤解されている方が(特にメディア関係に)多いのではないかと思います。これまで岩田先生の著書を数冊と、ブログの記事をいくつか読ませていただいていますが、長い文章を読むことに慣れていない(もしくは最近あまり文章を読まなくなった)人にとっては、岩田先生の説明は長ったらしく感じるかもしれません。気が短い方なら最後まで読む前に「で、結局のところどうなの?」と聞きたくなるでしょうし、テレビなどでは(時間的な制約もあるとは思いますが)その結論のところだけ手っ取り早く伝えられることが多いのでしょう。しかし、その結論だけ聞いて「分かった」つもりになってしまうのは、思考停止を招きかねないのではないかと思います。

新型コロナウイルス感染症はまだまだ未知の部分が多く、かつ各自が考えながら適切な判断・行動をしなければならない状況が当分続くでしょう。そのような状況を生き延びていくためには、正しい知識とともに、新しく入ってくる情報を理解し取捨選択するためのリテラシーが必要なのだろうと思います。そのようなリテラシーを身につけるための、検査や感染防止方法などに関する基礎知識が、本書では丁寧に説明されています。

本書が発行されたのは今年の 10 月下旬ですが、今の時期にこの本を読めて本当に良かったと思いました。

 

【書籍情報】

岩田健太郎(2020)『丁寧に考える新型コロナ』光文社新書

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