自宅にハチドリ電力を導入

一昨日(5 月 13 日)から、自宅の電力が「ハチドリ電力」に切り替わりました。

切り替わったと言っても、何か工事が発生した訳ではなく、電気の質が変わった訳でもありませんので、生活には全く影響がありません。単に電気代を支払う先が、自然エネルギーで発電している会社に変わっただけです。契約も Web サイトだけで完結するので簡単でした。

ハチドリ電力とは: https://hachidori-denryoku.jp/concept/

それまでは(株)グランデータというところで契約していました。特に不満があって変えた訳ではありません。そもそも(株)グランデータを選んだことにも積極的な理由はなく、いま住んでいるところに引っ越す際に不動産会社から勧められ、東電より安くなると言われたので、言われるがままに流されて契約したという感じです(実際にどのくらい安くなったかは、比較不可能なので分かりません)。

つまり、電力会社をどこにするか、たいして関心がありませんでした。

以前から再生可能エネルギーに多少は関心がありましたが、自分が契約した電力会社が本当に再生可能エネルギーを使ってるか確認のしようがないし、どっちみち送電は東電の送電網に依存してるし、などと考えていくと、どんどん面倒になっていきましたし、「結局単なる自己満足なんじゃないの?」という感じもしましたので、特に行動には移さずにいました。

しかし最近、こんなことを改めて考えさせられる状況になってきました。ひとつめは日本における気候変動緩和のための取り組みがなかなか進まないことです。なお、自分自身は趣味で(つまり全く非生産的な目的で)バイクに乗ったりするので、自分で温室効果ガスを垂れ流しながら “気候変動緩和” とか語るのは矛盾してるじゃないかと言われるかも知れませんが、これまで数々の自己矛盾を内包しながら半世紀にわたって生きてきましたので、もう何とでも言ってください。

さらに岸田首相が、原子力発電所の延命や新増設に対して積極的な姿勢を示したことに危機感を覚えました。2011 年に発生した大規模な原発事故について十分な検証や再発防止策(これについて書き出すと長くなるので詳細は割愛します)が出来たわけでもないのに、唐突に原発利用推進に舵を切ったのはなぜなのか。背景や理由が分からず唐突に動き出したことが不気味でした。

そんなことを悶々と考えていたところ、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で電気料金が爆上がりしました。ここで「今なら天然ガスや石油に依存しない再生可能エネルギーの方が安いんじゃないか?」というヨコシマな動機で再生可能エネルギーに関心が向いたタイミングで、あるきっかけでハチドリ電力のことを唐突に思い出しました。

ハチドリ電力のことをどこで知ったのか、今となっては全く思い出せませんが、再生可能エネルギーによる電力を販売する会社のひとつとして、随分前から知ってはいました。あらためて Web サイトを見たところ、電気料金が現在に比べて安くなるかどうかは正直分かりませんでした(今後も比較のしようがありません)が、支払った電気料金の 1% が再生可能エネルギーに再投資されるという仕組みに魅力を感じて、他社とほとんど比較せずに即契約しました。

もしかしたら、時間をかけて他社と比較したら、もっと安価な再生可能エネルギーが見つかるかも知れませんが、もし見つかったとしても差額はハチドリの涙ほどだと思いますので、後悔はしないだろうと思います。もし後悔することがあるとしたら、ハチドリ電力の Web サイトで説明されている内容に致命的な嘘が見つかった場合くらいですかね。




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Euphonium / Trombone リハビリ経過

新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で、全く練習できない期間が数ヶ月ありましたが、練習再開後もなかなか以前のような演奏ができないまま、現在に至っています。

練習再開からしばらくは、まあブランク明けはこんなもんだろう、という程度の認識でしたが、数ヶ月たってもなかなか好転せず、むしろどんどん下手になっていくようでした。

そんな中でもオーケストラ(自分の所属しているのとは別の団体)で演奏する機会を 2 度ほどいただいたり、吹奏楽やブラスバンドなどの本番もいくつかあったりしたので、ごまかしながら何とか凌いできましたが、原因を自分なりに考えて対策しようとするほど逆にうまくいかず、状況は悪化する一方でした。

特に、アンブシュアを支える筋力が落ちたのではないかと考えて、昨年 9 月からマウスピースでの buzzing の練習を毎日やるというのを数ヶ月続けてみましたが、それなりに気付きがあった一方で、楽器の演奏は改善できなかったので、いよいよ自力で改善できる見込みは無さそうだと考え、以前にお世話になっていた先生に再び連絡をとり、しばらくレッスンをお願いして矯正していくことにしました。

なお、症状は Euphonium でも Trombone でも変わらないのですが、Trombone の方が奏法の良くないところが分かりやすいので、レッスンは Trombone で受けています(Euphonium だと奏法が多少ずれていても楽器が響いてくれるので、アラが分かりにくい)。

まず、レッスン開始前の時点で自覚していた症状は次のとおり。

  • 大したことない音域(第四〜第五倍音)で音を外す(だいたい下に外れる)
  • 短い音が音にならない。例えばスタッカートの八分音符ひとつを p で吹こうとすると唇が振動しない。
  • 大したことないテンポで八分音符が続くフレーズを吹けない。タンギングのたびに唇の両脇から息が漏れて、音にならない。

四月の第一週からレッスンをスタートしましたが、これまで 4 回のレッスンの中で、だいたい次のようなことが分かってきました。

  • 息の量とスピードが足りない。この状態だと、近くでは音が出ていてるような感じがしても遠くに届かない。特にオケではまずい。
  • ベルの横から耳に入る音を聴きすぎる。本来は、楽器から出た音が壁などで反射してくる音を聴くのが良い。その結果として、少ない息で出ている音を良い音だと思ってしまい、息の少ない吹き方が定着してしまっている可能性がある。
  • 楽器の角度がやや上向きになっている。かつて奏法を矯正したときに、やや下向きに修正したのが元に戻ってしまっている。
  • アパチュアがやや閉じ気味になっている。本来は(自分の場合)もう少し開き気味にして、息を若干捨てるくらいになった方が良い(奏者本人には、かすれ気味の音に聴こえるくらいの方が、結果として良い音が出ている)。
  • コロナ前に比べて喉の奥が開いていない。

なぜそうなったのか原因はよく分かりません。コロナの影響で数ヶ月吹かない間に筋力が落ちたとか、加齢による筋力低下などが複合的に作用している可能性もあります。また、要因のひとつとして考えられるのは、マウスピースでの buzzing の練習を継続的にやったことで、息を使わない吹き方が定着してしまったのではないか、ということでした。

また、自分自身としては息が足りなくなっているという自覚はほとんどなく、息よりもアンブシュア(およびそれを支える筋力)の方が問題だと思っていましたが、根本原因は息の方にあるようでした。

これらを踏まえて、先生と相談しながら今後の練習方針を次のように決めました。

  • 楽器の角度に注意する。マウスピースを主に下あごで支える感じで、リムの上端が浮いてるくらいが良い。
  • マウスピースだけの buzzing を、アパチュアを閉じ過ぎずに、十分な息を使ってできるのを確認してから楽器を吹く。マウスピースだけで buzzing したときに音が上ずるような感じになったら、息が足りていないと考える。
  • 練習のときに自分の音色を気にしない。録音も聴かない方が良さそう。ただし音程や音色が揺れたり不安定になったりしていないかどうかは気にしながら吹く。
  • 変な癖がつくのを防ぐために、自宅で buzzing などの練習をしない。

なお先生によると、大人の生徒さんの良くないところは、あれこれ考えすぎる事だそうです。そういった意味では、こんなことを文章にすること自体が有害とも言えます。しかし自分の場合は何らかの形で言語化できないと腑に落ちない気がしますし、練習内容や結果に納得感が欲しいので、こういうプロセスが必要だと思っています。




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「Maestoso」という指示を見たときにどうするか

先日の某楽団の練習でふと考えたことで、特に結論もオチもありません。

譜面に「Maestoso」という指示があるときに、自分がどうするかというと、自分なりの Maestoso のイメージで演奏してるだけなんですよね。その「自分なりの Maestoso のイメージ」というのは、過去に経験した曲の中で「Maestoso」と書かれた部分でとういう感じで演奏したか、の積み重ねだったりします。恐らく中学生や高校生の時に演奏した多数の吹奏楽曲の影響が大きいのだろうと思いますが、具体的にどういう曲の影響を受けているのかのかは、正直よくわかりません。

日本の音楽教育では確か「荘厳に、堂々と」などと訳すように決まってたと思います。しかし、そもそも「荘厳」ってどんなの?っていうのも人によって違うんですよね。普段まず使わない表現だからなおさら……..。あらためて辞書で調べてみたら、読み方から「そうごん」と「しょうごん」とあって、それぞれ意味が違うんですね。

こんな状況で「荘厳」という言葉からどういうものを連想するか。バッキンガム宮殿を連想する人とタージマハルを連想する人とでは、違ったイメージの演奏になるかもしれません。イタリア人の Maestoso とアメリカ人の Maestoso も違うかもしれないわけです。私なんぞは以前に唐招提寺の襖絵(東山魁夷作)を見たときの印象を不意に思い出したりするので、もはや説明不能な状況に….。

結局は演奏しながら他の奏者のふるまいを感じたり、演奏するたびに奏者どうしで話したり、指揮者や聞き手からフィードバックを受けたりしながら、その曲における Maestoso を作っていかなければならないのでしょうね。もちろん他の表現についても、例えば stringendo という指示を見たときに、どのへんからどうやって仕掛けていくかとか、というようなことも同様なんだろうなと。

ああ何か当たり前のことを書くために無駄なデータ通信を発生させてしまった。

(写真は本文とは関係ありません。)

 




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安東京平先生の Euphonium レッスン受講(たぶん通算 6 回目かな?)

新型コロナウイルスのパンデミックによる最初の緊急事態宣言のときに、4 ヶ月ほど楽器を全く吹かない期間ができた影響で、吹き方がすっかりおかしくなってしまいました。

最初は唇の両脇から息が漏れるのがとても気になって、ああこれは単純に口の周りの筋肉が落ちたかなと思っていましたが、何度か合奏をやっていくうちに、コロナ前なら何も考えずに吹けていたような簡単なフレーズでミスしたり、大したことのない音域で倍音を外したりすることが多くて、かなり全体的に奏法を忘れてしまったか、バランスが大きく崩れてしまったなと思いました。どの楽器でも(Euphonium、Baritone、Trombone)同じようにダメなので、楽器のせいでないことは明らかでした。

これまでいろいろ対策を考えながら、いくつかの本番を何とかしのいで来ましたが、一向に好転しないので、仕事の方も含めてスケジュールが一段落したところで、安東京平先生にレッスンをお願いしました。

 

(写真はイメージです)

 

レッスンの最初にこれまでの状況を一通り説明した上で、楽器を吹いて奏法をチェックしてもらったところ、いろいろな筋肉が落ちていることと、逆に首の周りや胸のあたりに余計な力が入りすぎていることを指摘されました。

筋肉が落ちていることは予想通りだったのですが、余計な力が入りすぎていることに関しては自覚がありませんでした。先生の見立てでは、これまでは口の周りで適当にごまかしてた部分が、筋力が落ちたためにごまかせなくなり、それを無理に修正しようとして無意識のうちに余計な力が入るようになってしまったのではないか、ということでした。ここまでで今後の奏法改善に関する方向性が概ね決まりました。

  • コロナ前の吹き方を忘れたということは、コロナ前にあったと思われる変な癖も忘れたと考えて、良い機会だととらえ、息の流れを作り直す。
  • 落ちた筋力を鍛えることを目指すよりも、筋肉が落ちた状態でスムースに吹けるようになることを目指す。

 

(写真はイメージです)

 

レッスンの中でいろいろ試行しながら相談し、次のような練習をしばらく試してみることになりました(以下は私の現状に対していただいたアドバイスなので、他の方々に役立つとは限りません)。

  • 楽器の抵抗感を上回る圧力で吹き込まないようにする。目安としては、音を鳴らさずに息だけを吹き込んだときの音に、高めの風切り音が含まれていたときは、息の圧力が楽器の抵抗感を上回っていると思われる。
  • ウォームアップのときに、これから吹こうとする楽器で出す音をイメージしながら息を吐く練習をすると良いかもしれない。そのときに前述の抵抗感を確認しながら、音を出す練習と息を吐く練習とを交互に繰り返す。
  • 楽器がないときは、4 拍くらいかけて息をゆっくり吸って、息をゆっくり一定の圧力で吐く練習をする。そのときに胸から上の力を抜き、息の圧力はアパーチュアと腹筋だけでコントロールする。
  • これは膨らました風船がしぼんでいくイメージ。風船がしぼんでいくときに、風船に力をかけて潰そうとするのではなく、しぼむ速さは口の開け閉めだけで調節する(これがアパーチュアに相当)。
  • マウスピースに頼らずに安定した buzzing ができるように練習する(リムのみの使用は可)。このとき、アンブシュアを変えずに安定して鳴らせる音域を少しずつ広げられるように練習する。
  • 楽器を鳴らすときと、buzzing するとき、声で歌うとき、単に息を吐くときとの間で、息の出方(そのときの体の使い方)が一致することを目指す。

レッスン前は、どちらかというと筋力を鍛える方向を目指すべきかと考えていたので、ある意味で真逆になったのは意外でしたし、行動に移す前に先生に見てもらって良かったと思いました。

もともとオーバーブロウ(やたらと息を吹き込む割には効率よく音量が上がらない)になりがちな癖もあったので、この方向で練習を続けていけば、そのような癖も軽減されるかもしれません。

しばらく時間はかかりますが、何とか立て直していきたいと思います。




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反省会(ブリティッシュブラスちば 第 10 回定期演奏会 2021.11.28)

いろいろ仕事が詰まってた影響で遅くなりましたが反省会など。

 

今回の演奏会に関しては、曲数が多いプログラムに対して、参加できた練習回数が限定的で、さらに緊急事態宣言による練習中断の影響をいまだに引きずっているという状況のなかで、これで果たして演奏会までに間に合うのかと常に心配しながら練習していました。

まあ結果的には間に合わなかったことも諸々ありましたが、自分なりに今できることは全部やったという意味での達成感はあります。

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演奏の中身に関しては、今回のプログラムの中で音楽的に最も面白かった曲と、技術的に最も難しかった曲と、最も緊張した曲と、最も達成感を感じた曲は、いずれも Year of the Dragon の 2 曲目だったように思います。

うちの指揮者が解説してくれた内容の受け売りですが、この曲は 1 曲目から 3 曲目までほとんど無調(単に譜面に調号が書いてないだけでなく、旋律や和音に調性がない)で作られているのに、2 曲目の中間部の 31 小節間だけ明確に D-dur で書かれています。つまり、全曲を通して得体の知れない生き物の世界なのに、ここだけ人間の音楽なんですね。

そういう説明を受けてから実際に演奏してみると、曲の印象が全く変わりました。その人間の音楽に入った瞬間の音がきれいに決まると、練習中に泣きそうになったことが何度もありました。Sparke 天才じゃないかと思いました。凄い曲を作ってくれたものです。本当に。

技術的に本当に困ったのは、2 曲目の大事な部分で Fis が多用されている事でした。自分の楽器は 2、3 番バルブを押す Fis と Cis がかなり低くなる欠点があって、口の加減で高めに取らなければならないのですが、この曲では p から ppp で Fis が何度も出てくるので、高めに取ろうとすると音を外したり途中で途切れたりすることがあります。これは相当緊張しました。

もちろん、最も緊張したのは Trombone のソリストだったと思いますが、自分のミスでソロを台無しにするわけにはいかないと思うと、自分がソロを吹く時以上に緊張しました。

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Dragon の 2 曲目の話ばかりで長くなりましたが、他の曲に関しては、録音を聴いた限りでは、自分(というか 1st Baritone)が果たすべき役割を概ね果たせたのではないかと思っています。速いパッセージで指が回らなかったりしたのは単純に練習不足で、今回の状況ではこれ以上練習時間を増やすことはできなかったと思うので、やむを得ないと割り切ることにします。

欲を言えば Jerusalem はもう少し練習で時間をかけて仕上げたかったと思います。もし「今回のプログラムの中でリベンジしたい曲はあるか?」と聞かれたら、私なら Jerusalem を挙げます。

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なお、かなりどうでもいい話ですが、緊急事態宣言による練習中断の影響でいろいろ調子が狂った影響で、今さらマウスピース選びに逡巡するという経験をしました。

確証はないのですが、従来よりも口角からの息漏れが多いことなどから、口の周りや頬あたりの筋肉が落ちたような気がしています(ブランクのせいではなく単純に老化の可能性もあります)。

一方で息の使い方に関してはさほど落ちておらず、口よりも息の圧力で高音域を出すフォームを意外と覚えていたので、唇がバテても息さえ吸えればハイトーンは出せるし、とりあえずひととおり演奏はできるという状況です。ただし大して難しくない場面でミストーンを連発しています。

これまでマウスピースに関しては、Baritone を始めたごく初期に 3 種類ほど試して以来、ずっと迷わず Denis Wick 6BS を使ってきたのですが、演奏会の 2 ヶ月前でも上のような状況が続いたので、これじゃ本番に間に合わないんじゃないかと思い始めました。

そこで以前に試したことがある Denis Wick SM6B を何となく使ってみたら意外に感触がよく、本番 2 週間前の全曲通し練習でもコレで全部行けそうだと確認できたので、直前で変えるのもどうかなとは思いつつ、マウスピースを切り替えることに決めました。

ところが本番前日のステージリハの時点でさらに感覚が変わり、曲によっては 6BS の方がうまくいくものもありました。本当にどうしようかと思いましたが、前日〜当日のリハーサルでは曲の途中でマウスピースを切り替えながらいろいろ試し、迷った挙げ句に本番は全て元の 6BS に戻して全部吹ききりました。

自分自身で何がどうなったのか、未だによく分かりませんが、一時的に SM6B を使ったことで、吹き方が矯正されたのかも知れません。とりあえず結果オーライということで、今後は 6BS でしばらくいきたいと思います。

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なお、お客様の中で某金管バンドの方から、1st Baritone がとても良かったとのお言葉をいただいたようです。私はその方とは直接お会いしておらず、他の団員からの又聞きなので、具体的にどのへんが良かったのかは分かりませんが、こんな奴の演奏でも耳に留めていただけたとは大変ありがたいことです。

おそらく、面識のない方から名指しで演奏を褒めていただいたのは(吹奏楽やオケなども含めて)初めてなのではないかと思います。生きててよかったと思いました。

読書メモ『ぜんぶ運命だったんかい――おじさん社会と女子の一生』(笛美)

本書は、2020 年 5 月に twitter で広まったハッシュタグ「#検察庁法改正案に抗議します」を作った方が、広告代理店に新卒入社してから、いかにしてフェミニズムに目覚め、そして前述のハッシュタグに至ったかを、自らの手で語った本です。

たまたまポリタス TV で本書のことを知り、kindle で即買いし、2 日間で(読書の遅い私にとっては)あっという間に読み通してしまいました。

 

本書に書かれている内容は、主に著者が企業に入社した後から 2020 年末に、前述のハッシュタグが twitter トレンド大賞で第 2 位に入賞するまでの、おそらく 10 年弱くらいの話ですが、著者はその期間の大部分を、自分が差別されていることを自覚せずに過ごされています。その間に経験した様々な苦労や不満、不快な経験、挫折などが、かなり具体的に描かれていますが、これらが性差別とか、構造的な問題であったことをあまり認識されていなかったようです。

これは、現在の著者がフェミニストであることを知った後で読んだ私にとっては、とても意外でした。もっと以前から性差別や、著者の言うところの「おじさん社会」に対して具体的に不満を持っていたのかと思っていたのですが、そうではなかったのですね。

しかしながら、あえてこれらの問題を認識していない時の目線で、当時の経験が具体的に描かれることで、今でも同じような境遇の(つまり構造的な問題の犠牲になっていながらそれに気付いていない)人が世間には大勢いらっしゃるのだろう、ということが生々しく想像できました。

読み物としては、著者がフェミニズムに出会い、様々な活動を始めた後のほうが面白いかも知れません。そういった観点からは、前半部分はクライマックスのための布石というか伏線のようにも見えます。しかし五十代前半男性の自分にとっては、前半部分の方がいろいろ考えさせられる内容だったと思います。

本書の前半部分は、いかに「おじさん社会」に組み込まれた女性が様々な局面で苦労を強いられるか、そしてそれに対して男性がいかに無自覚か(もしくは意図的に無視しているか)、いろいろな観点からの問いかけの連発でした。私自身、会社員時代を思い出しながら、いろいろ考えさせられました。

かつて私が企業に勤めていた当時でさえ、社内でハラスメント防止教育などがあったくらいですので、現在では企業内でもジェンダー平等に関する研修など、ある程度行われているのではないかと思います(そうあってほしい)。本書の前半部分は、そのような研修でのケーススタディのための教材として、ほぼそのまま使えるのではないかと思いました。

 

私のような中年男性や政治家、今まさに構造的な問題から抜け出せなくて苦労されている方々など、多くの方々に読んでいただきたいと思える本です。この本を読むことで、これらの問題の深刻さや、問題を生む構造を変えていく必要性があらためて分かるとともに、「フェミニズム」に対する印象や考え方も変わるかもしれません。

 

……と思って先ほど Amazon のレビューを見たら、批判的なレビューが本当に酷いですね。

まあだいたい話題になる本のレビューというのは、高評価と低評価が極端に分かれるものだと思いますが、批判的レビューの内容をちょっと見たら、「ああこの人達には伝わらないよなぁ…..」と遠くを見つめる感じになりました。難しいですね。

 

【書籍情報】

笛美(2021)『ぜんぶ運命だったんかい――おじさん社会と女子の一生』亜紀書房

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一言でなんか言えるか

私の所属しているブラスバンドでパート紹介の動画を撮りました。

 

うちのパートの録画をすることは練習日当日の朝に急遽決まりました。当バンドは毎週日曜日の午前中に練習しているので、この日の練習が終わった後に少し居残りして録画するとの事でした。

このようにユルい感じで決まったので、まあ大したことはないだろうとタカをくくっていましたが、午前中の合奏が始まる前に台本を渡されたときに、これが大きな間違いであることに気づきました。

台本どころか絵コンテになっていて、画面の構成とかフレームインとか指定されています。おいおい随分本気じゃねぇか。

しかも私が何かしゃべることになっています。

 

 

一言で、ですか…..。

 

正直これには困りました。

当バンドも含め、他のブラスバンドでも演奏会の中で楽器紹介の時間が設けられることが度々ありますが、だいたい Baritone の説明といえば、「Euphonium より一回り小さくて…..」などと説明されることがほとんどです。そんな月並みな説明はしたくありません。しかしなら、これといって他に特徴のない楽器です。

しかも、今さらこういう説明をするということは、対象としてブラスバンドや Baritone のことをよく知らない方々が想定されているはずです。そう考えると、この楽器の特徴を一言で伝えるのはますます至難の業のように思えました。

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誤解を避けるために一応申し上げますが、これは決して Baritone が「何の特徴もない、つまらない楽器だ」という趣旨ではありません。私はこのバンドで Baritone を吹くことを心底楽しんでいるし、やればやるほど奥の深いパートだと思います。

ブラスバンドにおける Baritone の役割やその面白さ、魅力を語ることはいくらでもできますが、話せば話すほどマニアックな方向に行きかねないのです。そのような魅力を一言で伝えることができるとは到底思えないのです。

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さらに、このセリフのあとに「簡単にワンフレーズ演奏」とあります。さて Baritone の音色の特徴を伝えるのにピッタリのフレーズって何だ?しかも直前のセリフとの繋がりも考えておかしくない曲は?などと考えだしたら収拾がつかなくなってきました。

そんなことばかり考えていたので午前中の合奏もイマイチ手につかなかったのですが、それでも合奏が終わる頃には一応考えもまとまり、「簡単にワンフレーズ演奏」は当日の合奏で練習した曲の中からひとつ選ぶことにしました。

午前中の練習が終わって、録画の準備をしているときに、インタビュー担当の方から唐突に「田代さん、Baritone って一言で言うとどのような楽器ですか?」と振られたので、合奏の間に何とか考えついた答えを、一言で返してみました。

とても微妙な空気になりました。

彼女の微妙なリアクションを見て、「一言で言うと」という問いに本当に一言で答えることが期待されていないことを、ようやく悟りました。そりゃそうですよね。

それからセッティングが決まるまでの数分の間に、何とか答えをひねり出して乗り切ったのが、こちらの動画です。

 

 

今にして思えば、録画前に唐突に話を振られることがなかったら、カメラが回っているところで微妙な間が空くという寒い状況を招くところでした。録画前にこの間違いに気づかせてくれた彼女には本当に感謝しています。

なお、Baritone の後に Euphonium の紹介が続きますが、こちらはちゃんとパート紹介のために二重奏の譜面を用意して、録画前に練習までしていました。何だよ周到に準備してるじゃねぇかよ。

それにひきかえ Baritone のほうは、私が使っている 1st Baritone の譜面(裏旋律)を 2nd の人に渡して、自分が主旋律を吹くというその場しのぎです。まあ、たまたま当日の練習曲目にこの曲が入っていて幸運でした。




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外国人技能実習生、難民申請、入管法などに関するメモ

(適宜更新します。)

 

せやろがいのYou Tubeラジオ番組「コネラジ」(2021/8/13):第212回 日替わりMC安田菜津紀さん

  • https://youtu.be/G-k9rKDBR18
  • ウィシュマさんのご遺族がビデオ映像をご覧になったことを踏まえて安田菜津紀さんのコメントなど。

 

東京新聞 Web サイト(2021/8/11):「入管、人権意識欠く」 当時の局長ら4人処分 ウィシュマさん死亡で最終報告書<動画あり>

  • https://www.tokyo-np.co.jp/article/123413
  • ウィシュマさんの死亡事件に関する最終報告書が提出された。
  • サイトからリンクされている上川法務相の会見で、ウィシュマさんのビデオ映像を遺族に見せることが明言された。

東京新聞 Web サイト(2021/8/11):「鼻から牛乳や」「ねえ、薬きまってる?」衰弱していたウィシュマさんに入管職員 「命預かる施設」とかけ離れ

東京新聞 YouTube(2021/8/11):上川陽子法相によるスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんの死亡問題に関する記者会見

Dialogue for People「Radio Dialogue 016(2021/7/7):ウィシュマさん死亡事件の真相究明と再発防止を求めて

 

 

 

 

 




カテゴリー: News

読書メモ『オバマ 広島演説』

(本の性格上「読書メモ」というタイトルを付けるほど読んではいないのですが…..。)

 

これを買ったのは、確か 2 年ほど前に仕事で広島に行ったときです。

前泊が必要なスケジュールだったので、どうせ前泊するならと前日の朝に出発して、広島平和記念公園に行き、広島平和記念資料館国立広島原爆死没者追悼平和祈念館を見学しました。そのとき帰りがけに広島平和記念資料館の売店に立ち寄った際に目に止まったのが、この本です。

この本には 2016 年 5 月 27 日にオバマ大統領(当時)が広島を訪問した際の演説に加えて、2009 年 4 月 5 日にプラハで行われた、核兵器廃絶を訴える演説が収録されています。英語の原稿とその和訳(見開き対訳)が収録されており、これが録音された CD も付属しています。さらに購入後にこの本の PDF 版をダウンロードできるようになっています。

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実は大昔に野口悠紀雄先生の『超英語法』という本を読みました。この本から学んで役に立ったことはたくさんありますが、全て実践できたわけではありません。そして、この本で推奨されている勉強法なかで私が実践しなかったことのひとつが、「アメリカ大統領の演説を丸暗記する」という方法でした。

なぜこの方法が良いのか、理由を知りたい方は、野口先生の本を読んでいただければと思いますが、もともと暗記モノが苦手な私は、良い方法だとは思いながら手を出せずにいました。

そんなことが何年も前からずっと引っかかっていて、いつかはやらなければと思っていたところで、この本を見つけてしまいました。

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とりあえず耳から入ろうと思って、車に乗るたびにこの CD を何十回も聞きましたが、もともとリスニングが苦手なこともあって、あまり頭に入りませんでした。ひとつだけ言い訳をさせていただくと、広島での演説は話し方が非常にゆっくりで、フレーズの途中でもブツブツ区切って話しているので、原稿を見ずに聞いてるだけだとセンテンスの切れ目が分かりにくく、私には正直つらいと思いました。

しかし改めて原稿を読んでいくと、被爆者に寄り添いながら、世界平和や核兵器廃絶を目指す決意を語る、優しくも力強い演説だと分かります。これは暗記する価値があります(できるかどうかは……)。

まさかこの演説の翌年に、このような思慮深い演説ができそうもない人が大統領になるとは思ってもいませんでしたが。

 

なお、個人的には後半のプラハでの演説のほうが断然聞き取りやすいと思いました。広島の演説と違ってブツブツ切らずに、テンポよく話されているからだと思います。また広島の演説のように厳粛な場ではなかったと思われ、聴衆の歓声(特に女性とおもわれる声)や拍手も入っていて、盛り上がっている感じも面白いです。

特に終盤に向けてだんだんヒートアップしていって、最後に「Together we can do it.」と締めくくるところで盛大な拍手喝采となる部分は、なかなか感動的です。これも丸暗記したい。

 

【書籍情報】

CNN English Express 編集部(編)(2016)『オバマ広島演説』朝日出版社

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合奏専用眼鏡を投入

乱視プラス老眼のため、約 5 年前にデスクワーク用の中近両用4 年前に日常生活用の遠近両用眼鏡を作ってもらって以来、すっかり眼鏡オヤジが定着してきましたが、実は楽器を演奏するときの眼鏡選びにはずっと答えが見つかっていませんでした

どうしても楽器を演奏するときに、顔の角度がある程度動くんですよね。

もともと顔が若干下向きになる癖があるので、眼鏡をかけると指揮者がちょうど上側のフレームと重なって見にくくなります。それを防ぐために Euphonium や Baritone を吹くときには楽器と体の間にクッションを入れて、顔が少し上を向くように矯正しようとしたのですが、やはり演奏上あまり良くなさそうだという結論に落ち着きました。

また、楽譜の中で読みたいところが、ちょうど眼鏡の下側の老眼対策ゾーンに重なると、かなりぼやけてしまって、小さめの楽譜だとたまに読み間違えるようになりました。

3 年近く前には「演奏用に新しく眼鏡を作るのもちょっとやり過ぎな感じもします」などと思っていたのですが、乱視が進行したのか老眼が進行したのか(もしくは両方か)、最近特に楽譜の見間違えによるミスが増えてきました(もちろん楽譜以外の理由による凡ミスもあります)。そこで思い切って合奏専用眼鏡を作ることにしました。

楽譜を持って眼鏡屋に行き、合奏のときの譜面台の場所を想定して楽譜を置いた状態で乱視矯正が最適になるように調整してもらい、老眼対策は捨てて乱視対策一本にしました。

フレームについてはアンダーリムのものもいくつか試しましたが、結局のところ今回選んだ丸形のものの方が、縦方向の視界が広いようでした。丸眼鏡というと古臭い印象になるかと思いましたが、こちらはデザインのせいか色のおかげか、さほど古臭い感じはしないと思いました(まあ主観ですが)。

 

これまで作ってもらったときはもっと納期が長かったので、今回もそれなりに時間がかかると覚悟していましたが、今回は遠近両用や中近両用ではないので時間がかからないらしく、超短納期でした。

眼鏡屋に行ったのは水曜日でしたが、金曜日には仕上がるとの事だったので、宅急便での配達をお願いし、土曜日の午前中に届きました。

こんな写真では伝わらないと思いますが、エアキャップを止めるテープを切るのがもったいないくらい、とても丁寧に梱包されて届きました。結局切りましたけどね。

 

午後から吹奏楽団の練習だったので、早速実戦投入しました。

期待どおり、顔の角度が多少変わっても、楽譜全体がはっきり見えます。逆に、楽譜以外はほとんど全て、少しボケて見えます。くっきり見えるのは一列前の人くらいまででしょうか。これは想定していたとおりです。

当然ながら指揮者の顔もあまりはっきり見えません(表情くらいは分かります)。指揮者の先生方には申し訳ありませんが、先生方の顔がはっきり見えることはあまり重要ではないので、良しとします。

 

今日の合奏全体を通して、楽譜が見にくいということは全くありませんでした。なかなか良さげなので、ブラスバンドやオーケストラでも早く試してみたいところです。

眼鏡の選択肢が増えると、人生がさらに楽しくなりますね。



eLTAX でさんざん回り道させられた話(平井デジタル改革担当大臣何とかしてくれ)

昨年設立した会社の決算処理や確定申告などの作業の経緯を書きましたが、この作業で作成した電子申告用のデータを e-TAXeLTAX で送信する際に、自分がたまたま Mac ユーザーだったばっかりに、無用な回り道を何度もさせられたので、来年の確定申告の際に同じような回り道をしなくて済むように、経緯を書いておきたいと思います。

 

なお、以下の内容の半分以上は愚痴ですし、日常的に Windows を使っている方々には価値がほとんどない情報が続きます。

 

[うちの IT 環境]

日常業務には Mac を使っています。ごく稀に(特にこういう作業の時に)Windows が必要になるので、BootCamp で Windows 10 の環境も用意してあります。

電子署名は NTT ネオメイトの「e-Probatio PS2」の電子認証カードを使っています。カードリーダーは同社の動作確認済みリストに載っていた uTrust 2700 R です(中古品をネットで見つけて購入)。

 

[e-TAX]

法人税と消費税(つまり国税)に関する電子申告には e-TAX を使います。

これは私個人の確定申告を昨年実施した時や、上半期の源泉徴収所得税の処理をした時に既に使った経験があったので、さほど問題はありませんでした。

下の方に掲載した表にあるように、Mac でも使えることになっているのですが、上半期の源泉徴収所得税の処理をした時には、Mac だと電子署名の読み込みが出来なかったため、やむを得ず BootCamp で Windows 10 に切り替えて Chrome で処理しました。

(個人の確定申告を行ったときは、Mac + Safari で、マイナンバーカードによる電子署名付与も含めて処理できたような気がするのですが、いまいち記憶がはっきりしません。いずれにしても法人向けの処理に関しては Mac ではうまくいきませんでした。)

したがって今回は最初からおとなしく Windows 10 + Chrome で無難に処理しました。

 

[eLTAX]

問題は今回始めて使用する eLTAX でした。これは都に対する法人都民税の申告に使うものです。

e-TAX と eLTAX とで動作環境が微妙に異なります。2021 年 2 月時点での状況は次のようになります。ちなみに eLTAX には「Web 版」と「DL 版」(ダウンロード版/Windows 用のみ)とがありますが、DL 版の推奨環境は Web 版と同じです。

OS e-TAX eLTAX(Web 版)
Win OS:

  • Microsoft Windows 8.1(デスクトップモードのみ)
  • Microsoft Windows 10

ブラウザ:

  • Microsoft Internet Explorer 11
  • Microsoft Edge(Chromium)
  • Google Chrome
OS:

  • Microsoft Windows 7 Service Pack 1
  • Microsoft Windows 8.1
  • Microsoft Windows 10

ブラウザ:

  • Microsoft Internet Explorer 11.0(32bit版のみ)
  • Microsoft Edge(Microsoft Windows 10をご利用の場合のみ)
Mac OS:

  • mac OS 10.13
  • mac OS 10.14
  • mac OS 10.15
  • mac OS 11

ブラウザ:

  • Safari 13.1(OS 10.13 の場合)
  • Safari 14.0(OS 10.14 以降の場合)
OS:

  • Mac OS10.12
  • Mac OS10.13
  • Mac OS10.14

ブラウザ:

  • Safariの最新バージョン

私としてはやはり BootCamp で再起動するのは面倒なので、できるだけ Mac で済ませたいと思うわけです。しかし e-TAX が「一応」最新 OS までカバーされている一方で、eLTAX は Mac OS 10.14 で止まってるんですよね(うちのマシンは 10.15)。まあでも「推奨」環境なので、出来ないことはないかも知れないと思い、一応 Mac でやってみることにしました。

 

eLTAX で申告を行うためには、まず最初に「利用者 ID」を取得する必要があります。

まずはここから、と思って手続きを進めようと思ったときに、表示された画面がこちらです。

…….。

トップページに戻ってよく見たら、利用時間が平日の 8:30~24:00 と書かれていました。

そりゃ夜中までこんな作業をしている私も悪いと思いますけど、なんで利用時間を制限する必要があるんですかね。たまにメンテナンスのために止める程度なら分かりますけど。もしかして裏で誰かが手作業で処理してるの?

 

翌朝あらためて「利用者 ID」の取得をします。指定された項目を入力したら電子署名を読み込むんですが、ここまで来たところで「MacOS では公的個人認証サービス(要はマイナンバーカードですね)に基づく電子証明書のみ利用可能」であることが分かります。弊社の電子署名は NTT ネオメイトで発行してもらった「e-Probatio PS2」です。

 

「先に言えよ」と思いました。

 

気を取り直して BootCamp で Windows 10 に切り替え、Edge で作業を進めます。eLTAX の Web 版を使うためには、ブラウザにプラグインをインストールする必要があるという表示が出たので、指定されたリンクをクリックしてプラグインをインストールします。

ここで表示されたのが Chrome 用プラグインだったので、何か間違えたかと思いましたが、Edge が Chromium ベースだから Chrome 用プラグインが使えるということのようでした。普段 Windows を使わないため、そんなことに興味もなく、全く知らなかったので、これを確認するために Web でいろいろ調べる必要があり、再び時間を消費しました。

そんなこんなで「利用者 ID」取得の手続きを済ませ、これはすぐ発行されたので、eLTAX の Web 版でログインし、いよいよ申告データの送信です。しかし、いくら探しても申告データを送信するためのボタンが見当たりません。

eLTAX の Web サイトをあちこち探して、ようやく分かったことは、Web 版には申告のデータを送信する機能は無いということでした。

そういう訳で DL 版をインストールし、ログインして、申告データを送信しました…..。

 

今回の作業にどれだけ時間がかかったのか、測っていたわけでは無いので明確には分かりませんが、eLTAX に関する作業だけで恐らく 3 時間くらいはかかっています。

終わってからあらためて振り返ってみると、「電子申告データを送信するためには Windows で DL 版を使わなければならない」ということが最初から分かっていれば、30 分程度で済んだかも知れません。長くても 1 時間はかからなかったと思います。

こういう制約条件も含めて動作環境のページに全部書いておいてくれれば、あんな回り道をしなくて済んだんですよ。こういう分かりにくさは本当に何とかしてほしいと思います。

もちろんマニュアルはひととおり用意されています。PDF で Web 版用が 407 ページ、DL 版用が 462 ページに及ぶ大変立派なマニュアルです。これらををちゃんと読めば上記のことは全部書いてあります。しかし今回行った作業は全て、「DL 版を使わなければならない」という制約さえ知っていれば、マニュアルなど見なくてもできる簡単な作業でした。さらにマニュアルが置いてある場所が分かりにくく、特に DL 版のマニュアルを見つけたのは、全ての作業が終わった後でした

 

こういう分かりにくさや中途半端な制約条件も、デジタル庁ができたら改善されるんですかね……。