こうの史代『夕凪の街 桜の国』をようやく読んだ

映画『この世界の片隅に』に触発されて、実は一ヶ月くらい前に既に買ってあったが、時間がある時にちゃんと落ち着いて読みたいと思って何となく先延ばししていたもの。三連休で久しぶりに自宅でゆっくできたので、読んでみた。

物語の舞台は昭和三十年、昭和六十二年、平成十六年で、『この世界の片隅に』の原作と同じように、取材を重ねた結果を踏まえて描いている(昭和三十年と平成十六年の広島カープの状況も踏まえて)。

ちょっとしたシーンが、さりげなく後のシーンと絡んでいるので、「あれはこういう事だったのか」と後から気づいて前のページに戻ったりしながら読んだ(こういうところも『この世界の片隅に』と同じ)。三篇合わせて 100 ページもないのに、随分時間をかけて読み進んだと思う。時間が出来るまで先延ばししてて良かった。

これはあくまでも漫画であって創作だけれども、同じように原爆の後遺症に苦しんだ方、生き残ったことで罪悪感を背負ってこられた方、差別的な扱いを受けてこられた方々の苦しみが、生々しく伝わってくる。昨年ようやく広島の平和記念資料館を見学できたけれど、展示物にある実物から伝わるものとは何か違うリアルさがある。

また、この漫画が制作された 2004 年よりも後に起こった東日本大震災や、それに伴う原発事故の影響で、たくさんの方々がいわれのない罪悪感や差別に苦しんでいる。そういう問題を忘れてはいけないと改めて思う。

ちなみにこの本は初版発行が 2004 年 10 月で、私の手元にあるのが 2017 年 1 月 31 日発行の第 39 刷。ロングセラーになる理由がよく分かるし、もっと長く読まれてほしい。