音楽家向けの鍼治療を再び受けている話

以前に音楽家向けの鍼治療を受けた話と、それが結果的にはうまくいかなかった話を書きましたが、紆余曲折の末、結局また鍼治療を受け始めました。ただし以前にお世話になった先生とは別のところです。

最初に鍼治療を受け始めたとき、音楽家向けの鍼治療をしているところが 2 ヶ所見つかり、自宅からのアクセスの良さから品川の方にお世話になりました。その後あまり効果が無さそうということになって治療は中断したのですが、個人練習していても頬の震えが収まらず、この状態で練習を続けても意味がないような感じがしてきたので、ダメ元でもうひとつの方(練馬)に行ってみることにしました。

(現実問題として、タンギングがほとんでできなくなっていて、合奏でもほとんどまともに吹けない状態だったので、これ以上悪くはならないだろうという思いもありました。)

行ってみて驚いたのは、品川の先生と練馬の先生とで手法が全く異なることです。

品川の先生の場合、首から上に針を刺したことは一度もなく、一見全く関係無さそうな場所に針を打つのに、頬の震えや呼吸などに大きな変化が現れました。

これに対して練馬の先生の場合、耳の下や喉など、演奏に使う筋肉を直接刺激するような場所に針を打ち、しかも針に電極をつないで電気を数分間流します。手首や足首、背中などにも針を打ったり、お灸も使います。品川の先生の時と比べて即効性は少ないように感じますが、先生と相談しながら考えている治療方針に沿って、少しずつ結果が出てきているように思います。

念のために申し添えますが、どちらが良いとか悪いとかという話ではなく、どちらが今の自分の症状に合ってるかという話なのだろうと思います。

もうひとつの大きな違いは、品川の先生からは「ジストニア」という言葉を(たぶん)聞かなかったのに対して、練馬の先生は最初に状況を見たときから、これはジストニアだと明言されていたことです。

9 月下旬から概ね週一ペースで 7 回施術してもらっています。頬の震えに関しては、第三倍音の D くらいまでは概ね収まってきましたが、これより上の音域になると震えが目立つようになります。

またタンギングに関しては、特に短い音を吹こうとする時に、タンギングをすると息の流れが止まってしまうようで、ほとんど音になりません。先生の観察によると舌に余分な力が入りすぎているとのことで、舌のストレッチを取り入れつつ、比較的無理のない音域(第三倍音の F より下)で譜例 (1) のように四分音符を 60 BPM くらいで吹いてみて、様子を見ながら譜例 (2)、(3) というように少しずつ短くしていくというような練習をしています。

譜例 (1)

譜例 (2)

譜例 (3)

第二倍音あたりでは譜例 (3) のような吹き方ができますが、全体的に音量やイントネーションが安定しないので、安定的にできるようになってから、徐々に音域を広げていこうと思っています。

 

これと並行して、以前からお世話になっている Trombone の先生のレッスンも受けていて、ほぼ週一回くらいのペースで、奏法や音色をチェックしていただいています。いろいろ試行錯誤しながら何となく分かってきたのは、フリーバズ(楽器もマウスピースも使わずにバズィングすること)のときの力の入れ方(力を入れる方向や力加減)がちょうどいいんじゃないかということです(ただしフリーバズと楽器を吹く時とでは唇の振動する場所は違う)。フリーバズをやってる状態で楽器を当てると比較的いい音がするし、頬の震えも少ないことが多いので、フリーバズと楽器とを交互に繰り返すという練習も取り入れています。これも今は第三倍音より下だけで練習していて、様子を見ながら音域を上げていこうと思っています。

このような方法が良いのかどうかは正直よく分かりませんが、今のところは少しでも可能性を感じる方法をしばらく続けてみるしかないかなと。

 

品川の先生と違って、少ない施術回数での効果を期待するという感じでは無さそうなので、しばらく時間はかかると思いますし、先週の本番にも全く間に合わず、ほとんど何もできないまま本番を終えてしまいましたが、これからしばらく本番がないので、ある程度時間をかけるつもりで地道に治していこうと思います。

しかし、まあ何とも金のかかる体になってしまったものです。




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