反省会(ブリティッシュブラスちば 第 10 回定期演奏会 2021.11.28)

いろいろ仕事が詰まってた影響で遅くなりましたが反省会など。

 

今回の演奏会に関しては、曲数が多いプログラムに対して、参加できた練習回数が限定的で、さらに緊急事態宣言による練習中断の影響をいまだに引きずっているという状況のなかで、これで果たして演奏会までに間に合うのかと常に心配しながら練習していました。

まあ結果的には間に合わなかったことも諸々ありましたが、自分なりに今できることは全部やったという意味での達成感はあります。

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演奏の中身に関しては、今回のプログラムの中で音楽的に最も面白かった曲と、技術的に最も難しかった曲と、最も緊張した曲と、最も達成感を感じた曲は、いずれも Year of the Dragon の 2 曲目だったように思います。

うちの指揮者が解説してくれた内容の受け売りですが、この曲は 1 曲目から 3 曲目までほとんど無調(単に譜面に調号が書いてないだけでなく、旋律や和音に調性がない)で作られているのに、2 曲目の中間部の 31 小節間だけ明確に D-dur で書かれています。つまり、全曲を通して得体の知れない生き物の世界なのに、ここだけ人間の音楽なんですね。

そういう説明を受けてから実際に演奏してみると、曲の印象が全く変わりました。その人間の音楽に入った瞬間の音がきれいに決まると、練習中に泣きそうになったことが何度もありました。Sparke 天才じゃないかと思いました。凄い曲を作ってくれたものです。本当に。

技術的に本当に困ったのは、2 曲目の大事な部分で Fis が多用されている事でした。自分の楽器は 2、3 番バルブを押す Fis と Cis がかなり低くなる欠点があって、口の加減で高めに取らなければならないのですが、この曲では p から ppp で Fis が何度も出てくるので、高めに取ろうとすると音を外したり途中で途切れたりすることがあります。これは相当緊張しました。

もちろん、最も緊張したのは Trombone のソリストだったと思いますが、自分のミスでソロを台無しにするわけにはいかないと思うと、自分がソロを吹く時以上に緊張しました。

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Dragon の 2 曲目の話ばかりで長くなりましたが、他の曲に関しては、録音を聴いた限りでは、自分(というか 1st Baritone)が果たすべき役割を概ね果たせたのではないかと思っています。速いパッセージで指が回らなかったりしたのは単純に練習不足で、今回の状況ではこれ以上練習時間を増やすことはできなかったと思うので、やむを得ないと割り切ることにします。

欲を言えば Jerusalem はもう少し練習で時間をかけて仕上げたかったと思います。もし「今回のプログラムの中でリベンジしたい曲はあるか?」と聞かれたら、私なら Jerusalem を挙げます。

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なお、かなりどうでもいい話ですが、緊急事態宣言による練習中断の影響でいろいろ調子が狂った影響で、今さらマウスピース選びに逡巡するという経験をしました。

確証はないのですが、従来よりも口角からの息漏れが多いことなどから、口の周りや頬あたりの筋肉が落ちたような気がしています(ブランクのせいではなく単純に老化の可能性もあります)。

一方で息の使い方に関してはさほど落ちておらず、口よりも息の圧力で高音域を出すフォームを意外と覚えていたので、唇がバテても息さえ吸えればハイトーンは出せるし、とりあえずひととおり演奏はできるという状況です。ただし大して難しくない場面でミストーンを連発しています。

これまでマウスピースに関しては、Baritone を始めたごく初期に 3 種類ほど試して以来、ずっと迷わず Denis Wick 6BS を使ってきたのですが、演奏会の 2 ヶ月前でも上のような状況が続いたので、これじゃ本番に間に合わないんじゃないかと思い始めました。

そこで以前に試したことがある Denis Wick SM6B を何となく使ってみたら意外に感触がよく、本番 2 週間前の全曲通し練習でもコレで全部行けそうだと確認できたので、直前で変えるのもどうかなとは思いつつ、マウスピースを切り替えることに決めました。

ところが本番前日のステージリハの時点でさらに感覚が変わり、曲によっては 6BS の方がうまくいくものもありました。本当にどうしようかと思いましたが、前日〜当日のリハーサルでは曲の途中でマウスピースを切り替えながらいろいろ試し、迷った挙げ句に本番は全て元の 6BS に戻して全部吹ききりました。

自分自身で何がどうなったのか、未だによく分かりませんが、一時的に SM6B を使ったことで、吹き方が矯正されたのかも知れません。とりあえず結果オーライということで、今後は 6BS でしばらくいきたいと思います。

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なお、お客様の中で某金管バンドの方から、1st Baritone がとても良かったとのお言葉をいただいたようです。私はその方とは直接お会いしておらず、他の団員からの又聞きなので、具体的にどのへんが良かったのかは分かりませんが、こんな奴の演奏でも耳に留めていただけたとは大変ありがたいことです。

おそらく、面識のない方から名指しで演奏を褒めていただいたのは(吹奏楽やオケなども含めて)初めてなのではないかと思います。生きててよかったと思いました。