反省会(ブリティッシュブラスちば 第 10 回定期演奏会 2021.11.28)

いろいろ仕事が詰まってた影響で遅くなりましたが反省会など。

 

今回の演奏会に関しては、曲数が多いプログラムに対して、参加できた練習回数が限定的で、さらに緊急事態宣言による練習中断の影響をいまだに引きずっているという状況のなかで、これで果たして演奏会までに間に合うのかと常に心配しながら練習していました。

まあ結果的には間に合わなかったことも諸々ありましたが、自分なりに今できることは全部やったという意味での達成感はあります。

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演奏の中身に関しては、今回のプログラムの中で音楽的に最も面白かった曲と、技術的に最も難しかった曲と、最も緊張した曲と、最も達成感を感じた曲は、いずれも Year of the Dragon の 2 曲目だったように思います。

うちの指揮者が解説してくれた内容の受け売りですが、この曲は 1 曲目から 3 曲目までほとんど無調(単に譜面に調号が書いてないだけでなく、旋律や和音に調性がない)で作られているのに、2 曲目の中間部の 31 小節間だけ明確に D-dur で書かれています。つまり、全曲を通して得体の知れない生き物の世界なのに、ここだけ人間の音楽なんですね。

そういう説明を受けてから実際に演奏してみると、曲の印象が全く変わりました。その人間の音楽に入った瞬間の音がきれいに決まると、練習中に泣きそうになったことが何度もありました。Sparke 天才じゃないかと思いました。凄い曲を作ってくれたものです。本当に。

技術的に本当に困ったのは、2 曲目の大事な部分で Fis が多用されている事でした。自分の楽器は 2、3 番バルブを押す Fis と Cis がかなり低くなる欠点があって、口の加減で高めに取らなければならないのですが、この曲では p から ppp で Fis が何度も出てくるので、高めに取ろうとすると音を外したり途中で途切れたりすることがあります。これは相当緊張しました。

もちろん、最も緊張したのは Trombone のソリストだったと思いますが、自分のミスでソロを台無しにするわけにはいかないと思うと、自分がソロを吹く時以上に緊張しました。

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Dragon の 2 曲目の話ばかりで長くなりましたが、他の曲に関しては、録音を聴いた限りでは、自分(というか 1st Baritone)が果たすべき役割を概ね果たせたのではないかと思っています。速いパッセージで指が回らなかったりしたのは単純に練習不足で、今回の状況ではこれ以上練習時間を増やすことはできなかったと思うので、やむを得ないと割り切ることにします。

欲を言えば Jerusalem はもう少し練習で時間をかけて仕上げたかったと思います。もし「今回のプログラムの中でリベンジしたい曲はあるか?」と聞かれたら、私なら Jerusalem を挙げます。

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なお、かなりどうでもいい話ですが、緊急事態宣言による練習中断の影響でいろいろ調子が狂った影響で、今さらマウスピース選びに逡巡するという経験をしました。

確証はないのですが、従来よりも口角からの息漏れが多いことなどから、口の周りや頬あたりの筋肉が落ちたような気がしています(ブランクのせいではなく単純に老化の可能性もあります)。

一方で息の使い方に関してはさほど落ちておらず、口よりも息の圧力で高音域を出すフォームを意外と覚えていたので、唇がバテても息さえ吸えればハイトーンは出せるし、とりあえずひととおり演奏はできるという状況です。ただし大して難しくない場面でミストーンを連発しています。

これまでマウスピースに関しては、Baritone を始めたごく初期に 3 種類ほど試して以来、ずっと迷わず Denis Wick 6BS を使ってきたのですが、演奏会の 2 ヶ月前でも上のような状況が続いたので、これじゃ本番に間に合わないんじゃないかと思い始めました。

そこで以前に試したことがある Denis Wick SM6B を何となく使ってみたら意外に感触がよく、本番 2 週間前の全曲通し練習でもコレで全部行けそうだと確認できたので、直前で変えるのもどうかなとは思いつつ、マウスピースを切り替えることに決めました。

ところが本番前日のステージリハの時点でさらに感覚が変わり、曲によっては 6BS の方がうまくいくものもありました。本当にどうしようかと思いましたが、前日〜当日のリハーサルでは曲の途中でマウスピースを切り替えながらいろいろ試し、迷った挙げ句に本番は全て元の 6BS に戻して全部吹ききりました。

自分自身で何がどうなったのか、未だによく分かりませんが、一時的に SM6B を使ったことで、吹き方が矯正されたのかも知れません。とりあえず結果オーライということで、今後は 6BS でしばらくいきたいと思います。

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なお、お客様の中で某金管バンドの方から、1st Baritone がとても良かったとのお言葉をいただいたようです。私はその方とは直接お会いしておらず、他の団員からの又聞きなので、具体的にどのへんが良かったのかは分かりませんが、こんな奴の演奏でも耳に留めていただけたとは大変ありがたいことです。

おそらく、面識のない方から名指しで演奏を褒めていただいたのは(吹奏楽やオケなども含めて)初めてなのではないかと思います。生きててよかったと思いました。

読書メモ『ぜんぶ運命だったんかい――おじさん社会と女子の一生』(笛美)

本書は、2020 年 5 月に twitter で広まったハッシュタグ「#検察庁法改正案に抗議します」を作った方が、広告代理店に新卒入社してから、いかにしてフェミニズムに目覚め、そして前述のハッシュタグに至ったかを、自らの手で語った本です。

たまたまポリタス TV で本書のことを知り、kindle で即買いし、2 日間で(読書の遅い私にとっては)あっという間に読み通してしまいました。

 

本書に書かれている内容は、主に著者が企業に入社した後から 2020 年末に、前述のハッシュタグが twitter トレンド大賞で第 2 位に入賞するまでの、おそらく 10 年弱くらいの話ですが、著者はその期間の大部分を、自分が差別されていることを自覚せずに過ごされています。その間に経験した様々な苦労や不満、不快な経験、挫折などが、かなり具体的に描かれていますが、これらが性差別とか、構造的な問題であったことをあまり認識されていなかったようです。

これは、現在の著者がフェミニストであることを知った後で読んだ私にとっては、とても意外でした。もっと以前から性差別や、著者の言うところの「おじさん社会」に対して具体的に不満を持っていたのかと思っていたのですが、そうではなかったのですね。

しかしながら、あえてこれらの問題を認識していない時の目線で、当時の経験が具体的に描かれることで、今でも同じような境遇の(つまり構造的な問題の犠牲になっていながらそれに気付いていない)人が世間には大勢いらっしゃるのだろう、ということが生々しく想像できました。

読み物としては、著者がフェミニズムに出会い、様々な活動を始めた後のほうが面白いかも知れません。そういった観点からは、前半部分はクライマックスのための布石というか伏線のようにも見えます。しかし五十代前半男性の自分にとっては、前半部分の方がいろいろ考えさせられる内容だったと思います。

本書の前半部分は、いかに「おじさん社会」に組み込まれた女性が様々な局面で苦労を強いられるか、そしてそれに対して男性がいかに無自覚か(もしくは意図的に無視しているか)、いろいろな観点からの問いかけの連発でした。私自身、会社員時代を思い出しながら、いろいろ考えさせられました。

かつて私が企業に勤めていた当時でさえ、社内でハラスメント防止教育などがあったくらいですので、現在では企業内でもジェンダー平等に関する研修など、ある程度行われているのではないかと思います(そうあってほしい)。本書の前半部分は、そのような研修でのケーススタディのための教材として、ほぼそのまま使えるのではないかと思いました。

 

私のような中年男性や政治家、今まさに構造的な問題から抜け出せなくて苦労されている方々など、多くの方々に読んでいただきたいと思える本です。この本を読むことで、これらの問題の深刻さや、問題を生む構造を変えていく必要性があらためて分かるとともに、「フェミニズム」に対する印象や考え方も変わるかもしれません。

 

……と思って先ほど Amazon のレビューを見たら、批判的なレビューが本当に酷いですね。

まあだいたい話題になる本のレビューというのは、高評価と低評価が極端に分かれるものだと思いますが、批判的レビューの内容をちょっと見たら、「ああこの人達には伝わらないよなぁ…..」と遠くを見つめる感じになりました。難しいですね。

 

【書籍情報】

笛美(2021)『ぜんぶ運命だったんかい――おじさん社会と女子の一生』亜紀書房

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一言でなんか言えるか

私の所属しているブラスバンドでパート紹介の動画を撮りました。

 

うちのパートの録画をすることは練習日当日の朝に急遽決まりました。当バンドは毎週日曜日の午前中に練習しているので、この日の練習が終わった後に少し居残りして録画するとの事でした。

このようにユルい感じで決まったので、まあ大したことはないだろうとタカをくくっていましたが、午前中の合奏が始まる前に台本を渡されたときに、これが大きな間違いであることに気づきました。

台本どころか絵コンテになっていて、画面の構成とかフレームインとか指定されています。おいおい随分本気じゃねぇか。

しかも私が何かしゃべることになっています。

 

 

一言で、ですか…..。

 

正直これには困りました。

当バンドも含め、他のブラスバンドでも演奏会の中で楽器紹介の時間が設けられることが度々ありますが、だいたい Baritone の説明といえば、「Euphonium より一回り小さくて…..」などと説明されることがほとんどです。そんな月並みな説明はしたくありません。しかしなら、これといって他に特徴のない楽器です。

しかも、今さらこういう説明をするということは、対象としてブラスバンドや Baritone のことをよく知らない方々が想定されているはずです。そう考えると、この楽器の特徴を一言で伝えるのはますます至難の業のように思えました。

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誤解を避けるために一応申し上げますが、これは決して Baritone が「何の特徴もない、つまらない楽器だ」という趣旨ではありません。私はこのバンドで Baritone を吹くことを心底楽しんでいるし、やればやるほど奥の深いパートだと思います。

ブラスバンドにおける Baritone の役割やその面白さ、魅力を語ることはいくらでもできますが、話せば話すほどマニアックな方向に行きかねないのです。そのような魅力を一言で伝えることができるとは到底思えないのです。

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さらに、このセリフのあとに「簡単にワンフレーズ演奏」とあります。さて Baritone の音色の特徴を伝えるのにピッタリのフレーズって何だ?しかも直前のセリフとの繋がりも考えておかしくない曲は?などと考えだしたら収拾がつかなくなってきました。

そんなことばかり考えていたので午前中の合奏もイマイチ手につかなかったのですが、それでも合奏が終わる頃には一応考えもまとまり、「簡単にワンフレーズ演奏」は当日の合奏で練習した曲の中からひとつ選ぶことにしました。

午前中の練習が終わって、録画の準備をしているときに、インタビュー担当の方から唐突に「田代さん、Baritone って一言で言うとどのような楽器ですか?」と振られたので、合奏の間に何とか考えついた答えを、一言で返してみました。

とても微妙な空気になりました。

彼女の微妙なリアクションを見て、「一言で言うと」という問いに本当に一言で答えることが期待されていないことを、ようやく悟りました。そりゃそうですよね。

それからセッティングが決まるまでの数分の間に、何とか答えをひねり出して乗り切ったのが、こちらの動画です。

 

 

今にして思えば、録画前に唐突に話を振られることがなかったら、カメラが回っているところで微妙な間が空くという寒い状況を招くところでした。録画前にこの間違いに気づかせてくれた彼女には本当に感謝しています。

なお、Baritone の後に Euphonium の紹介が続きますが、こちらはちゃんとパート紹介のために二重奏の譜面を用意して、録画前に練習までしていました。何だよ周到に準備してるじゃねぇかよ。

それにひきかえ Baritone のほうは、私が使っている 1st Baritone の譜面(裏旋律)を 2nd の人に渡して、自分が主旋律を吹くというその場しのぎです。まあ、たまたま当日の練習曲目にこの曲が入っていて幸運でした。




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外国人技能実習生、難民申請、入管法などに関するメモ

(適宜更新します。)

 

せやろがいのYou Tubeラジオ番組「コネラジ」(2021/8/13):第212回 日替わりMC安田菜津紀さん

  • https://youtu.be/G-k9rKDBR18
  • ウィシュマさんのご遺族がビデオ映像をご覧になったことを踏まえて安田菜津紀さんのコメントなど。

 

東京新聞 Web サイト(2021/8/11):「入管、人権意識欠く」 当時の局長ら4人処分 ウィシュマさん死亡で最終報告書<動画あり>

  • https://www.tokyo-np.co.jp/article/123413
  • ウィシュマさんの死亡事件に関する最終報告書が提出された。
  • サイトからリンクされている上川法務相の会見で、ウィシュマさんのビデオ映像を遺族に見せることが明言された。

東京新聞 Web サイト(2021/8/11):「鼻から牛乳や」「ねえ、薬きまってる?」衰弱していたウィシュマさんに入管職員 「命預かる施設」とかけ離れ

東京新聞 YouTube(2021/8/11):上川陽子法相によるスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんの死亡問題に関する記者会見

Dialogue for People「Radio Dialogue 016(2021/7/7):ウィシュマさん死亡事件の真相究明と再発防止を求めて

 

 

 

 

 




カテゴリー: News

読書メモ『オバマ 広島演説』

(本の性格上「読書メモ」というタイトルを付けるほど読んではいないのですが…..。)

 

これを買ったのは、確か 2 年ほど前に仕事で広島に行ったときです。

前泊が必要なスケジュールだったので、どうせ前泊するならと前日の朝に出発して、広島平和記念公園に行き、広島平和記念資料館国立広島原爆死没者追悼平和祈念館を見学しました。そのとき帰りがけに広島平和記念資料館の売店に立ち寄った際に目に止まったのが、この本です。

この本には 2016 年 5 月 27 日にオバマ大統領(当時)が広島を訪問した際の演説に加えて、2009 年 4 月 5 日にプラハで行われた、核兵器廃絶を訴える演説が収録されています。英語の原稿とその和訳(見開き対訳)が収録されており、これが録音された CD も付属しています。さらに購入後にこの本の PDF 版をダウンロードできるようになっています。

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実は大昔に野口悠紀雄先生の『超英語法』という本を読みました。この本から学んで役に立ったことはたくさんありますが、全て実践できたわけではありません。そして、この本で推奨されている勉強法なかで私が実践しなかったことのひとつが、「アメリカ大統領の演説を丸暗記する」という方法でした。

なぜこの方法が良いのか、理由を知りたい方は、野口先生の本を読んでいただければと思いますが、もともと暗記モノが苦手な私は、良い方法だとは思いながら手を出せずにいました。

そんなことが何年も前からずっと引っかかっていて、いつかはやらなければと思っていたところで、この本を見つけてしまいました。

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とりあえず耳から入ろうと思って、車に乗るたびにこの CD を何十回も聞きましたが、もともとリスニングが苦手なこともあって、あまり頭に入りませんでした。ひとつだけ言い訳をさせていただくと、広島での演説は話し方が非常にゆっくりで、フレーズの途中でもブツブツ区切って話しているので、原稿を見ずに聞いてるだけだとセンテンスの切れ目が分かりにくく、私には正直つらいと思いました。

しかし改めて原稿を読んでいくと、被爆者に寄り添いながら、世界平和や核兵器廃絶を目指す決意を語る、優しくも力強い演説だと分かります。これは暗記する価値があります(できるかどうかは……)。

まさかこの演説の翌年に、このような思慮深い演説ができそうもない人が大統領になるとは思ってもいませんでしたが。

 

なお、個人的には後半のプラハでの演説のほうが断然聞き取りやすいと思いました。広島の演説と違ってブツブツ切らずに、テンポよく話されているからだと思います。また広島の演説のように厳粛な場ではなかったと思われ、聴衆の歓声(特に女性とおもわれる声)や拍手も入っていて、盛り上がっている感じも面白いです。

特に終盤に向けてだんだんヒートアップしていって、最後に「Together we can do it.」と締めくくるところで盛大な拍手喝采となる部分は、なかなか感動的です。これも丸暗記したい。

 

【書籍情報】

CNN English Express 編集部(編)(2016)『オバマ広島演説』朝日出版社

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合奏専用眼鏡を投入

乱視プラス老眼のため、約 5 年前にデスクワーク用の中近両用4 年前に日常生活用の遠近両用眼鏡を作ってもらって以来、すっかり眼鏡オヤジが定着してきましたが、実は楽器を演奏するときの眼鏡選びにはずっと答えが見つかっていませんでした

どうしても楽器を演奏するときに、顔の角度がある程度動くんですよね。

もともと顔が若干下向きになる癖があるので、眼鏡をかけると指揮者がちょうど上側のフレームと重なって見にくくなります。それを防ぐために Euphonium や Baritone を吹くときには楽器と体の間にクッションを入れて、顔が少し上を向くように矯正しようとしたのですが、やはり演奏上あまり良くなさそうだという結論に落ち着きました。

また、楽譜の中で読みたいところが、ちょうど眼鏡の下側の老眼対策ゾーンに重なると、かなりぼやけてしまって、小さめの楽譜だとたまに読み間違えるようになりました。

3 年近く前には「演奏用に新しく眼鏡を作るのもちょっとやり過ぎな感じもします」などと思っていたのですが、乱視が進行したのか老眼が進行したのか(もしくは両方か)、最近特に楽譜の見間違えによるミスが増えてきました(もちろん楽譜以外の理由による凡ミスもあります)。そこで思い切って合奏専用眼鏡を作ることにしました。

楽譜を持って眼鏡屋に行き、合奏のときの譜面台の場所を想定して楽譜を置いた状態で乱視矯正が最適になるように調整してもらい、老眼対策は捨てて乱視対策一本にしました。

フレームについてはアンダーリムのものもいくつか試しましたが、結局のところ今回選んだ丸形のものの方が、縦方向の視界が広いようでした。丸眼鏡というと古臭い印象になるかと思いましたが、こちらはデザインのせいか色のおかげか、さほど古臭い感じはしないと思いました(まあ主観ですが)。

 

これまで作ってもらったときはもっと納期が長かったので、今回もそれなりに時間がかかると覚悟していましたが、今回は遠近両用や中近両用ではないので時間がかからないらしく、超短納期でした。

眼鏡屋に行ったのは水曜日でしたが、金曜日には仕上がるとの事だったので、宅急便での配達をお願いし、土曜日の午前中に届きました。

こんな写真では伝わらないと思いますが、エアキャップを止めるテープを切るのがもったいないくらい、とても丁寧に梱包されて届きました。結局切りましたけどね。

 

午後から吹奏楽団の練習だったので、早速実戦投入しました。

期待どおり、顔の角度が多少変わっても、楽譜全体がはっきり見えます。逆に、楽譜以外はほとんど全て、少しボケて見えます。くっきり見えるのは一列前の人くらいまででしょうか。これは想定していたとおりです。

当然ながら指揮者の顔もあまりはっきり見えません(表情くらいは分かります)。指揮者の先生方には申し訳ありませんが、先生方の顔がはっきり見えることはあまり重要ではないので、良しとします。

 

今日の合奏全体を通して、楽譜が見にくいということは全くありませんでした。なかなか良さげなので、ブラスバンドやオーケストラでも早く試してみたいところです。

眼鏡の選択肢が増えると、人生がさらに楽しくなりますね。



eLTAX でさんざん回り道させられた話(平井デジタル改革担当大臣何とかしてくれ)

昨年設立した会社の決算処理や確定申告などの作業の経緯を書きましたが、この作業で作成した電子申告用のデータを e-TAXeLTAX で送信する際に、自分がたまたま Mac ユーザーだったばっかりに、無用な回り道を何度もさせられたので、来年の確定申告の際に同じような回り道をしなくて済むように、経緯を書いておきたいと思います。

 

なお、以下の内容の半分以上は愚痴ですし、日常的に Windows を使っている方々には価値がほとんどない情報が続きます。

 

[うちの IT 環境]

日常業務には Mac を使っています。ごく稀に(特にこういう作業の時に)Windows が必要になるので、BootCamp で Windows 10 の環境も用意してあります。

電子署名は NTT ネオメイトの「e-Probatio PS2」の電子認証カードを使っています。カードリーダーは同社の動作確認済みリストに載っていた uTrust 2700 R です(中古品をネットで見つけて購入)。

 

[e-TAX]

法人税と消費税(つまり国税)に関する電子申告には e-TAX を使います。

これは私個人の確定申告を昨年実施した時や、上半期の源泉徴収所得税の処理をした時に既に使った経験があったので、さほど問題はありませんでした。

下の方に掲載した表にあるように、Mac でも使えることになっているのですが、上半期の源泉徴収所得税の処理をした時には、Mac だと電子署名の読み込みが出来なかったため、やむを得ず BootCamp で Windows 10 に切り替えて Chrome で処理しました。

(個人の確定申告を行ったときは、Mac + Safari で、マイナンバーカードによる電子署名付与も含めて処理できたような気がするのですが、いまいち記憶がはっきりしません。いずれにしても法人向けの処理に関しては Mac ではうまくいきませんでした。)

したがって今回は最初からおとなしく Windows 10 + Chrome で無難に処理しました。

 

[eLTAX]

問題は今回始めて使用する eLTAX でした。これは都に対する法人都民税の申告に使うものです。

e-TAX と eLTAX とで動作環境が微妙に異なります。2021 年 2 月時点での状況は次のようになります。ちなみに eLTAX には「Web 版」と「DL 版」(ダウンロード版/Windows 用のみ)とがありますが、DL 版の推奨環境は Web 版と同じです。

OS e-TAX eLTAX(Web 版)
Win OS:

  • Microsoft Windows 8.1(デスクトップモードのみ)
  • Microsoft Windows 10

ブラウザ:

  • Microsoft Internet Explorer 11
  • Microsoft Edge(Chromium)
  • Google Chrome
OS:

  • Microsoft Windows 7 Service Pack 1
  • Microsoft Windows 8.1
  • Microsoft Windows 10

ブラウザ:

  • Microsoft Internet Explorer 11.0(32bit版のみ)
  • Microsoft Edge(Microsoft Windows 10をご利用の場合のみ)
Mac OS:

  • mac OS 10.13
  • mac OS 10.14
  • mac OS 10.15
  • mac OS 11

ブラウザ:

  • Safari 13.1(OS 10.13 の場合)
  • Safari 14.0(OS 10.14 以降の場合)
OS:

  • Mac OS10.12
  • Mac OS10.13
  • Mac OS10.14

ブラウザ:

  • Safariの最新バージョン

私としてはやはり BootCamp で再起動するのは面倒なので、できるだけ Mac で済ませたいと思うわけです。しかし e-TAX が「一応」最新 OS までカバーされている一方で、eLTAX は Mac OS 10.14 で止まってるんですよね(うちのマシンは 10.15)。まあでも「推奨」環境なので、出来ないことはないかも知れないと思い、一応 Mac でやってみることにしました。

 

eLTAX で申告を行うためには、まず最初に「利用者 ID」を取得する必要があります。

まずはここから、と思って手続きを進めようと思ったときに、表示された画面がこちらです。

…….。

トップページに戻ってよく見たら、利用時間が平日の 8:30~24:00 と書かれていました。

そりゃ夜中までこんな作業をしている私も悪いと思いますけど、なんで利用時間を制限する必要があるんですかね。たまにメンテナンスのために止める程度なら分かりますけど。もしかして裏で誰かが手作業で処理してるの?

 

翌朝あらためて「利用者 ID」の取得をします。指定された項目を入力したら電子署名を読み込むんですが、ここまで来たところで「MacOS では公的個人認証サービス(要はマイナンバーカードですね)に基づく電子証明書のみ利用可能」であることが分かります。弊社の電子署名は NTT ネオメイトで発行してもらった「e-Probatio PS2」です。

 

「先に言えよ」と思いました。

 

気を取り直して BootCamp で Windows 10 に切り替え、Edge で作業を進めます。eLTAX の Web 版を使うためには、ブラウザにプラグインをインストールする必要があるという表示が出たので、指定されたリンクをクリックしてプラグインをインストールします。

ここで表示されたのが Chrome 用プラグインだったので、何か間違えたかと思いましたが、Edge が Chromium ベースだから Chrome 用プラグインが使えるということのようでした。普段 Windows を使わないため、そんなことに興味もなく、全く知らなかったので、これを確認するために Web でいろいろ調べる必要があり、再び時間を消費しました。

そんなこんなで「利用者 ID」取得の手続きを済ませ、これはすぐ発行されたので、eLTAX の Web 版でログインし、いよいよ申告データの送信です。しかし、いくら探しても申告データを送信するためのボタンが見当たりません。

eLTAX の Web サイトをあちこち探して、ようやく分かったことは、Web 版には申告のデータを送信する機能は無いということでした。

そういう訳で DL 版をインストールし、ログインして、申告データを送信しました…..。

 

今回の作業にどれだけ時間がかかったのか、測っていたわけでは無いので明確には分かりませんが、eLTAX に関する作業だけで恐らく 3 時間くらいはかかっています。

終わってからあらためて振り返ってみると、「電子申告データを送信するためには Windows で DL 版を使わなければならない」ということが最初から分かっていれば、30 分程度で済んだかも知れません。長くても 1 時間はかからなかったと思います。

こういう制約条件も含めて動作環境のページに全部書いておいてくれれば、あんな回り道をしなくて済んだんですよ。こういう分かりにくさは本当に何とかしてほしいと思います。

もちろんマニュアルはひととおり用意されています。PDF で Web 版用が 407 ページ、DL 版用が 462 ページに及ぶ大変立派なマニュアルです。これらををちゃんと読めば上記のことは全部書いてあります。しかし今回行った作業は全て、「DL 版を使わなければならない」という制約さえ知っていれば、マニュアルなど見なくてもできる簡単な作業でした。さらにマニュアルが置いてある場所が分かりにくく、特に DL 版のマニュアルを見つけたのは、全ての作業が終わった後でした

 

こういう分かりにくさや中途半端な制約条件も、デジタル庁ができたら改善されるんですかね……。




初めての会社決算処理と確定申告作業をようやく完了

昨年設立した会社の決算処理や確定申告などの作業を、一昨日ようやく終えました。

まあ一般的には文章にするほどの話題でもないのですが、会社の決算処理や確定申告などの作業が全く未経験だったこともあって、やり方が分かるまでに時間がかかったり、余計な回り道をしたりしたので、備忘を兼ねて書いておきたいと思います。

いま改めて振り返ってみても、手順が最初から分かっていれば、もっと短時間で済んだはずですので、次回はもっと楽になるはずだと信じて、今回の経緯をまとめます。

 

[日頃の会計処理]

日頃の会計処理には「会計 freee」を使っています(ベーシックプラン)。

freee にどんどん入力していくだけなので楽勝です。しかも銀行口座やクレジットカードを連携しておけば、かなりの入力が自動化できます。本当に楽。

システムが自動的に複式簿記で処理してくれるので、簿記会計の知識が皆無にもかかわらず最初から青色申告です。今のところ税理士さんのお世話になる必要もなさそうです。

しかしながら、決算や確定申告の時にどうなるかを知らないまま、あまり深く考えずに適当に入力していたデータが多かったので、決算処理の際にまとめて多数のデータを修正するハメになり、大変な思いをしました。やっぱり最初にある程度の勉強はしておくべきでしたね。

まあ今回理解して修正できたので、今期からは恐らく大丈夫だと思います。

 

[消費税申告書の作成]

本来は、設立したばかりの小さい会社ならば消費税の納税義務が免除されるのですが、弊社は諸事情により納税事業者です。しかも簡易課税に切り替える手続きを忘れたので、2021 年度までは「一般課税」で処理しなければなりません。何とも間抜けな話です。

まあ、そうは言っても freee だとこの辺は自動で処理してくれるので、簡易課税に切り替えても作業量はあまり変わらないかもしれません。

電子申告用のデータも freee が自動で吐き出してくれるので、あとは e-TAX で送信すれば OK。楽勝です。

 

[法人税申告書作成]

freee では法人税申告書を作成するための機能が「申告 freee」として別のアプリケーションになっています。会計 freee の[決算]メニューから「法人税申告」を選ぶと「申告 freee」に切り替わります。必要なデータは会計 freee から自動的に転記されるので、別アプリになっていることを意識せずに、申告書作成作業に入れます(一応、「ここからは申告 freee です」みたいな画面はありました)。

画面の説明にしたがって転記されたデータを確認しつつ様々なデータを入力し、いよいよ帳票が自動的に作成されるという段階になったところで、「ここから先の機能を使うなら金払え」という画面が登場します。

 

私が最も嫌いな展開です

「先に言えよ」と思いました。

 

ほぼほぼデータの入力を済ませ、会計データもうまく移行されて便利だよねーと思わせてから、おもむろに金額を表示してきます。年額 24,800 円(税別)です。「年額」ということになっていますが、実質的にはこの時期にしか使わないアプリケーションです。

もちろん同社の Web サイトをちゃんと見れば価格もちゃんと書いてあります。知らなかった私の落ち度と言われればそれまでですよ。しかしながら会計 freee の[決算]メニューからスルスル誘導された挙げ句に、金額を後出しされて寸止め食らった状況が非常に腹立たしく、一旦作業を止めました。

 

こんな汚いやりかたで買わせに来るソフトなんか使うもんかと思い、随分前に税務署から分厚い封筒で届いた確定申告用資料一式をあらためて見直したり、国税庁をはじめ多数の Web サイトをあたって、確定申告書の作り方を探したのですが、全く手がかりすら掴めませんでした。

最も困ったのは、税務署からの通知には「確定申告書」を 1 部提出するように書いてあるのですが、「確定申告書」という帳票が見当たらないことでした。どうも確定申告に必要な様々な書類をまとめて「確定申告書」と呼ぶようなのですが(これも未だに確証なし)、「確定申告書」がどういうものかを分からないのに確定申告書を作れる訳がありません。結局、「申告 freee」の軍門に下る決意をし、支払手続きを渋々済ませました。

 

「軍門に下る」とか大げさだなと思われるかもしれませんが、要はそれだけムカついたということです。単に楽になる程度のソフトだったら絶対使わなかったと思います。しかしながら本件に関しては、自分に知識もスキルも経験もない分野なので、使わざるを得ませんでした。

 

心を入れ替えて「申告 freee」での作業を再開すると、提出すべき多数の添付書類にデータが自動的に転記され、集計されています。しかし日々のデータ入力で取引先などの設定が適当だったなどの理由で、多くの欄に「その他」と記入されてしまいました。

さすがにこれだけ多くの項目が「その他」はまずいだろうと思って、該当するデータを探して修正するという作業を、かなりの時間を費やして行いました。

中には勘定科目を間違えていたものなどもあったので、入力済みのデータの勘定科目を変更するという作業も発生しました。その結果として財務諸表上の数字が変わったり消費税の計算が変わったりしたので、消費税申告書の作成をやり直したという回り道も経験しました。

このような作業を重ねて、添付書類の内容が整ったことを確認できたところで、電子申告用のデータを出力し、ようやく作業完了となりました。

 

この後、これらのデータを送信するところで再び壁にぶち当たるのですが、その辺は別途まとめます




PCR 検査について論じるために(たぶん)最低限知っておくべきこと

あらかじめお断りしておきますが、私は医療関係の専門家ではありませんので、この記事に書かれている内容が絶対に正しいという保証はできません。しかしながらこの記事の最後に記載した「参考文献」に基づいて書いているので、大事なところは外していないと思います。

したがって私自身はこの記事を読んだ結果に関して何ら責任を負いません。下記の「参考文献」およびその他の資料を使って、ご自分の責任で調査、確認されることをお勧めします。

 


一般に、検査には誤差や誤検出がつきもので、100% 正確な検査は恐らく無いと思います。新型コロナウイルスの PCR 検査ももちろん例外ではありません。

新型コロナウイルスの PCR 検査の場合、検査の正しさを表す指標として「感度」と「特異度」があります。感度は、感染している人が正しく「陽性」になる割合です。また特異度は、感染していない人が正しく「陰性」になる割合です。

参考文献 1. によると、新型コロナウイルスの PCR 検査の感度は 70% 程度、特異度は 95% 程度のようです。つまり、既に感染している人 100 人が PCR 検査を受けても 30 人くらいは陰性になることになります。これを「偽陰性」といいます。逆に、感染していないことが確実に分かっている人を 100 人集めて PCR 検査を行うと、5 人くらいは陽性になるということで、これは「偽陽性」といいます。

ここで、次のような例題を考えます。

特に新型コロナウイルスの感染が疑われるような症状がなく、他の感染者との濃厚接触もない A さんが、新型コロナウイルスの PCR 検査を受け、その結果が「陽性」だったとします。この場合、この A さんが本当に新型コロナウイルスに感染している可能性はどのくらいでしょうか?

この問いに対する答えは前提条件によってかなり変わりますが、いずれにしても驚くほど低い数字になります。以下、A さんが東京都民だと想定して説明を進めます。


前提条件

  • 2021 年 1 月 1 日時点での東京都の人口は 13,960,236 人(注 1)。
  • 2021 年 2 月 4 日時点での東京都での PCR 検査陽性者数(累計)は 102,200 人(注 2)。
  • 単純化のために、ここでは「PCR 検査陽性者数(累計)」=「現在の感染者数」とみなして考えます(注 3)。

 

考え方と計算方法

まず、感染が疑われるような症状がなく、他の感染者との濃厚接触もないのに、実は A さんが既に感染している可能性は、次のようになります。

(現在の感染者数)÷(東京都の人口)≒ 0.00732  (0.732%) --- [α]

次に、A さんの検査結果については、次の表のとおり 4 通りが考えられます。

感染している 感染していない
陽性 (1) (2)
陰性 (3) (4)

ここで「感染している」の列については感度を、「感染していない」の列については特異度を適用して計算します。

まず (1) と (3) については、A さんが感染している可能性が 0.732%、検査の感度が 70% なので、次のようになります。

(1) = 0.00732 × 0.7 ≒ 0.00512
(3) = 0.00732 × (1 - 0.7) ≒ 0.00220

また (2) と (4) については、A さんが感染していない可能性が(100% – 0.732%)すなわち 99.268%、検査の特異度が 95% なので、次のようになります。

(2) = 0.99268 × (1 - 0.95) ≒ 0.04963
(4) = 0.99268 × 0.95 ≒ 0.94305

したがって、検査結果が陽性だった A さんが感染している可能性は次のようになります。

(1) ÷ {(1) + (2)}= 0.00512 ÷ ( 0.00512 + 0.04963 ) ≒ 0.09352  (9.352%)

 

考察と注意事項

症状や他の感染者との濃厚接触など、A さんが感染している可能性を示唆するような材料がない状態で検査を行った場合、結果が陽性だったとしても、それは 9 割以上の確率で偽陽性だということになります。つまり、症状のない人に対して闇雲に PCR 検査を実施すると、偽陽性で隔離される人がどんどん増えるということになります。

しかしながら、これは「PCR 検査は役に立たない」という趣旨ではありません。感染が疑われる症状がある人や、他の感染者との濃厚接触がある方の場合は、上の例題の A さんよりも既に感染している可能性(上の [α])が大きくなるので、計算結果が大幅に異なります。

例えば、医師が診断した結果「感染している可能性は五分五分だ」と考えた場合、上の [α] を 0.5 として同様に計算すると、検査で陽性になった人が本当に感染している確率は約 93% になります。もっと控えめに、[α] を 0.2 にしても、約 78% になります。したがって、医師の診断などの方法で、感染している可能性を事前に見積もることと併用すれば、PCR 検査は信頼できる、ということになると思われます。

もちろん、感染しても無症状で、なおかつ他の人に感染を広げるという方が一定割合存在することが分かっているので、「偽陽性のリスクがあるとしても徹底的に検査を行うべきだ」という考え方もあるかも知れません。しかしその場合は、1 人の無症状感染者を見つけるために 9 人の偽陽性者を隔離するという犠牲を受け入れる必要があります。これを受け入れることが妥当なのかは私には分かりません。

 

注釈

  1. 東京都 Web サイト「「東京都の人口(推計)」の概要(令和3年1月1日現在)」 https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/01/28/01.html (2021/2/5 閲覧)
  2. 週刊東洋経済 ONLINE「新型コロナウイルス国内感染の状況」 https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/ (2021/2/5 閲覧)
  3. もちろん、これまで検査を受けて陽性になった方々の中にも、ある程度の偽陽性が含まれている可能性があります。また一度感染した後に回復された方も多数おられるはずですし、感染しているのに見つかっていない感染者も多数おられると思います。しかしながら、これらを見積もることは出来ないので、ここでは全て無視して考えます。

 

参考文献

  1. 岩田健太郎(2020)『丁寧に考える新型コロナ』光文社新書《Amazon リンク
  2. 結城浩(2020)『数学ガールの秘密ノート/確率の冒険』SBクリエイティブ《Amazon リンク

 




佐藤采香さんの音が沁みる『軒下ランプ』

佐藤采香さんの演奏は数年前にどこかの楽器屋のホールで聴かせていただいたことがあって、しっかり芯があるのに柔らかい音色が印象的だったことを覚えていました。

そんな佐藤采香さんの 2 枚目のアルバムを密林で昨年予約したところ昨日届いたので、早速聴いてみました。

今や世界的に CD よりも圧倒的にダウンロード販売が多くなっていて、CD の方が多く売れているのは日本くらいだ、という話を随分前から聞くようになりましたが、こういうデザインや装丁だと、やっぱり CD 買ってよかったと思いますね。収録されている解説も佐藤采香さんご自身によるもので、情報量も多く読み応えがあります。

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アルバム冒頭に収められているタイトル曲の「軒下ランプ」は、とても叙情的でいい曲だと思いました。佐藤采香さんの音色の暖かみもランプっぽい感じがして、曲のイメージとよく合ってるように思います。他の(特に外国の)方々の演奏も聴いてみたいと思える曲でした。

この CD で最も驚いたのは Bach の Partita でした。まるで Bach が Euphonium のために作曲したかのように、自然に音楽が流れてくる感じがしました。Beethoven や Mendelssohn も、「チェロのための曲を頑張ってユーフォでやってみました!」という感じが全く無く、余計なことを一切考えずに曲の良さを味わえる感じです。

私はこのような古い時代の曲は Euphonium には向かない(似合わない)と勝手に思っていたのですが、いかに自分が浅はかだったか思い知らされ、反省しました。

Waespi のコンチェルトでは Bach の時とは対象的にアグレッシブな演奏が聴けます。長いカデンツァも含めて聴いている方もアドレナリン高めになる曲で、リサイタルで生の迫力を味わってみたいと感じました。最後は「え?」と思うような意外な終わり方で、演奏が終わった瞬間にドヤ顔になっている姿を想像しました。

最後に収録されている Sparke の Song for Ina は、無理だとは知りつつ自分もこういう風に吹きたいと心底から思える演奏でした。この曲はこれまでいろいろな方々の演奏を聴いてきましたが、それらの中で最も優しさが深い演奏だと感じました。清水初海さんのピアノがまた優しくて、アルバムの最後に気持ちいい余韻が残ります。

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軒下ランプ/佐藤采香・清水初海




安ワインでもグラスを変えれば香りが分かりやすくなるんですけど

新型コロナウイルスの影響で、外で酒を飲むことが少なくなったこともあって、最近は自宅でほぼ毎日、夕食時にワインを飲んでいます。もちろん安ワインです。

たまに行くバーのオーナーから、何年か前に「モンテプルチアーノ・ダブルッツォ」(Montepulciano d’Abruzzo)という赤ワインを勧めてもらって飲んだときに、美味しかったのを覚えていたのですが、これが近所のスーパーで 1,100 円くらいで売ってるのを見つけました。

もちろん店で飲んだものと全く同じものではありませんが、買って飲んでみたら味がしっかりしてて、なかなか良かったので、それ以来常備しています。

普段はワイングラスも使わず、ガラスのコップで無造作に飲んでますが、ちょっとしたご縁でワイングラスをもらったので、試しに使ってみました。

しかもリーデルですよ。Don Julio というテキーラの販促品だそうで非売品です。テキーラをワイングラスで飲むって想像しにくいですが。

こんな大きくて品のあるグラスを使い慣れないので、どのくらい注ぐのがいいのかさえ分かりません。とりあえずこのくらい。

やはり大容量大口径(あまりグラスでこういう表現は使わないかもしれませんが)のグラスだと香りが分かりやすいですね。最初のひと口で「おっ」と思うくらいの違いがありました。

しかしグラスが薄いので、持つのも洗うのも緊張します。特に洗うときは、このグラスを洗う前に台所を一旦片付けたくなるくらいで、これを毎日続けるのは少々キツい…….。

 

…..結局再び箱に収納しました。

 

明日からは普通のグラスにして、デラックスなグラスはたまにちょっと気分を変えたいときにでも再び使おうと思います。